今は都会住まいやマンションに居住する人が増え、仏壇がある家も昔ほど多くない。忙しい毎日を過ごしていたり、住んでいるところからお墓のある場所までが遠い人にとっては、亡くなった家族や親戚のお墓参りに行きたいと思っても、なかなか思うように足を運べないものだ。

「おまいり ～童謡でお参り～」は、スマートフォンなどを通じて、故人にお参りするためのツール。iPhone、iPad向けの無料アプリで、起動すると、画面中央に遺影が表示されるようになっており、遺影として10枚の写真を登録できる。お参りの際、日本人にとってなじみ深い「故郷」「遠き山に日は落ちて」などの曲を流したり、丸ボタンをタップすると、小鳥のさえずりや教会の鐘の音などの音声を再生することも可能。アプリの曲は、オーストラリア在住の演奏家、Hiroko Scott氏が制作したもので、現在のところ全4曲用意されているが、今後定期的に曲の種類を増やしていく予定だという。

亡くなった人だけでなく、飼っていたペットのことを偲ぶなど、大切な思い出を心に残すことができそうだ。『電子デバイスでお参りなんて……』という抵抗感がある人もいるかもしれないが、古来お祈りの際に使われてきた儀式の道具と同じく、1つの道具として電子デバイスの存在があるのではないかと開発者は述べている。故人や大好きだったペットを偲ぶ、静かでしっとりとした時間をアプリを通じてもつことができ、お参りという行為を、今までよりもっと身近なものにしてくれるかもしれない。

おまいり ～童謡でお参り～