しかしこのマジックのようなことが現実にできるのだという。ワシントン大学の研究チームがこのほど、肺活量測定ツールとして「SpiroCall」を発表した。
・音響をデータ化
SpiroCallは、呼気に伴う音を拾って分析し、肺活量を測定するというもの。特定の番号に電話をかけて、指示通りに深呼吸してから息をできるだけ強く、そして息が続く限り吐き出すだけと利用方法は簡単だ。
開発チームはこれまでに4000人以上で試験を行い、どれだけの空気を吸い込んで吐き出したらどういう音響になるのかをデータ化している。電話口に吹きかけられた音はサーバーでデータと照合され、肺活量を算出するという仕組みだ。
・どの電話でも使える
このツールの画期的な点は、医師の診断が受けられない過疎地などに住んでいる人でも、容易に肺機能チェックが受けられるようになること。
スマホだけでなく一昔前の折り畳み式携帯電話や固定電話、公衆電話など電話の種類を問わず、世界中どこに住んでいても利用できるというのもメリットだ。
・誤差は6.2%
気になるのは診断の精度だが、開発チームによると医療現場で使われている肺活量計との誤差は6.2%。これは十分に許容範囲内なのだという。
とはいえ、開発チームは今後、精度をさらに高めて実用化を目指す。発展途上国でも電話の所有率は高まっている現代、肺疾患診断の際の有効な手段となりそうだ。
ワシントン大学