従来は、限られた地点に公的機関が測定器を設置し、大気の状態をモニタリングするのが一般的であったが、近年、個人ユーザー向けの大気環境測定器が少しづつ広がりはじめている。
・大気測定器とスマホアプリを組み合わせた個人向けのツール
英国の実業家で元科学技術大臣のポール・ドレイソン(Lord Drayson)氏は、2015年9月、イニシアチブ「CleanSpace(クリーンスペース)」を創設。
携帯型大気測定ツール「Tag(タグ)」とスマートフォンアプリを組み合わせた、大気環境モニタリングツールを開発した。
「Tag」は、持ち運びしやすいサイズで、いつでもどこでも、大気中の一酸化炭素をリアルタイムで測定。
測定データはBluetoothでスマートフォンに転送され、スマートフォンアプリで、大気の状態がビジュアルでわかりやすく表示される仕組みだ。
「CleanSpace」のスマートフォンアプリは無料でダウンロードでき、「Tag」は75ポンド(約1万1625円)で販売されている。
・クラウドソーシングで大気汚染の状態を広く可視化
各ユーザーが測定したデータは、英国内の大気の状態の可視化にも貢献している。
測定データは、インターネットを通じてデータベースに収集され、「CleanSpace」のオンラインプラットフォームで公開。いわば、ユーザーが“大気測定器”のような役割を担っているのだ。
「CleanSpace」のユーザー数が増えることによって、“大気測定器”の地点が増えていくのはもちろん、これらの測定データが広く共有されることで、大気汚染という深刻な課題への関心を、一般の人々にも喚起できると期待される。
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