・HMDを使って、VRで津波を体験
バーチャルリアリティ(VR)やAugmented Reality(AR、拡張現実)の技術を研究している愛知工科大学の板宮朋基氏らのチームでは、バーチャルリアリティを活用した動画を制作し、自然災害へ備えるため、人々の意識啓蒙を促す試みに取り組んでいる。
ユーザーは「Oculus Rift」「Gear VR」「Google Cardboard」などのヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着し、360度対応VRの津波シミュレーターとして、津波災害を擬似体験できる。
・複数の状況を想定
津波を想定した動画は複数用意されている。
そのうちの1つは、車の運転中に津波に遭遇してしまうシチュエーション。道路を走行していると水に囲まれ、車中に水が浸水し始め、ついには車が水に浮いて流されていくという体験。
他の1つは、都会の街中に立っている人が、浸水してくる水に巻き込まれ、あっという間に膝まで水位が上昇し、水に流されてしまう、という状況を再現している。
・自然災害に備えるため、人々の意識啓蒙に
実際にそこにいるかのようなリアリティ、臨場感あるVR動画体験により、津波が起きると、あたりの状況がどのように変化するのか、どういった困難に巻き込まれるのか、人々の想像力を喚起し、災害時の精神的な備えを促すことにつながるだろう。
津波の恐ろしさを胸に刻み、いざというときにパニックにならず、冷静に対処できるよう、普段からイメージトレーニング、避難経路のシミュレーションをおこなっておくことも、大切な“避難訓練”といえそうだ。
愛知工科大学工学部 板宮研究室