成長が早いベンチャー企業はすぐにオフィスが狭くなることも珍しくなく、新しいオフィスに移転する際に、多額の転居費用がかかってしまうケースも多い。
そんな経営者にオススメなのが居抜き物件に転居するという選択。今まで飲食店では一般的だったこの手法を、オフィス移転に取り入れたサービスがヒトカラメディアがスタートした「スイッチオフィス」。
Techable編集部はヒトカラメディアの取締役、田久保博樹氏に直撃!事業についていろいろと聞いてみた。
Q1:このアイデアを思いついたきっかけを教えてください。
もともと、「居抜き」というものは、オフィス移転では事例は少なく、飲食などの店舗の取引でよく行われるものでした。僕らがメインでサポートさせていただいているベンチャー・スタートアップ系の企業は、移転のペースが早く、1~2年で違う物件に移ることも珍しくありません。予算は多くはかけられないけど、会社で働くメンバーには働きやすい・心地良い・モチベーションが上がる空間で働いてほしい。そこで、「居抜き」というアイデアを思いつきました。内装構築費を大幅に下げられますし、物件によってはこだわった内装を引き継ぐことができるので、ニーズは高いなと常々感じていました。
Q2:サービス開始にあたり、苦労したことはありますか?リリース後の反響はどのような声がありましたか?
本業の方をこなしながら、どれくらいスピード感持って実現まで進められるかという点が苦労しました。ウェブのみで完結しないサービスなので、実際に問い合わせがあった後のオペレーションフロー、どんなケースが想定されるかの洗い出しなど、リアルなソリューションとしての受け皿整備にもけっこうな議論を重ねましたね。当然ではありますが、オフィス移転にかかる金額感を身にしみて感じていらっしゃる経営層の方々から反響が多かったですね。ただ、想像以上に多くの方々に話題にしてもらった印象はあります。中には「最近移転したけど、もっと前にスイッチオフィスを知っていたら絶対使っていた!」という声なんかもあって、嬉しかったです。改めて、ニーズの強さを感じました。
会社の経営状況が悪くても、良くても使ってほしい
Q3:どのような人に利用してもらいたいでしょうか?
経営層や管理部門の方々メインになるかとは思いますが、オフィス移転に関わる方であれば、全ての方に一度は利用していただきたいです。「必ず居抜きで入退去できる!」といったサービスではないのですが、可能性は確実に広げられるサービスです。オフィス移転は影響する金額も大きいです。ぜひ、戦略的なオフィス移転に役立ててもらえればなと思っています。また、企業活動ですので、当然業績の悪化に伴って縮小移転というパターンもあると思います。この状況ですと、退去時のコストを極力抑えたいというニーズは更に強いと思います。こういったシーンでぜひ活用頂き、原状回復費を抑えるお手伝いができればなと考えています。
Q4:20人程度の会社が渋谷区に移転した場合、通常に比べどれくらい入居費用が節約できますか?
目安として、2坪/人あるとMTGスペースなども含めて十分なオフィススペースが確保できます。1.5坪/人だと少し圧迫感が出てきます。20人程度の会社が移転する場合、次の新しいオフィスでは最大35名ほどを見込んで移転したとします。とすると、必要な広さは約70坪。次にオフィスを構築する際の費用感です。どれくらい内装にこだわるかでピンキリではあるのですが、デスクやチェアなどの什器を含めて、10〜30万円/坪の内装構築費がかかります。そこそここだわったとして、20万円/坪。居抜きで内装を引き継ぎ、什器なども譲り受けた、内装にはほとんどお金がかからなかったと仮定すると、70坪×20万円/坪で約1400万円の節約につながる計算になります。それぞれの物件によってケースバイケースな部分もありますが、それでも1000万円前後の削減には十分つながります。
逆に退去を考えると、20人入るオフィスを40坪と過程して、原状回復費(これもビルや内装の入れ込み具合でピンキリですが)を4万円/坪と計算すると、40坪×4万円/坪で約160万円。1000万円前後に比べるとインパクトは薄いですが、それでも160万円ですからね!大きいと思いますよ。
オフィス移転の予定のあるベンチャー企業は、「スイッチオフィス」を検討してみてもいいかもしれない。