今、Vamsi Talla氏らを中心とするワシントン大学のチームで研究開発が進められている技術は、ひときわ異彩を放っている。
・Wi-Fiシグナルを充電エネルギーに変換
最大約85メートルの範囲内で、中空のWi-Fiのエネルギーを使ってバッテリーの充電に充てようという試みだ。
このシステムは、アクセスポイント(ルーター)と、独自設計のセンサーの2つで構成され、センサーがRF(無線周波)のエネルギーを集めて、直流電源へと変換する。
・独自のソフトウェアを開発、既存のルーターを活用
チームとしては、既存のWi-Fiルーターを活用したいと考えており、実験ではAsusのルーターを使用。カスタム設計のソフトウェアを導入することで、ルーターを普通のWi-Fiルーターとしての機能と同時に、Wi-Fiシグナルのエネルギー変換装置としても機能させる。
独自開発のセンサーが内蔵されたバッテリーは最大約85メートル、カメラは約52メートル、温度センサーは約61メートルの範囲内で動作することを確認したという。
・スタートアップを設立、技術向上を目指す
すでにシアトル付近の6軒の家でテストが実施されており、ハードウェア制作会社と共同でスタートアップの会社を設立。Wi-Fiシグナルの妨げとならないよう、また少しでも効率的にエネルギーを集められるよう、技術のブラッシュアップに励み、市場化させていきたい意向だ。
ケーブルレスで、同時にエネルギーの有効活用もできるすばらしい技術が、私たちの身近な存在となる日も近いのかもしれない。
University of Washington