運配送のシェアリングエコノミーサービス「ハコベル」が、まさにそうだ。運送会社の非稼働時間に着目した効率的なビジネスを考案。成熟しきった配送サービスの分野に、まだ開拓の余地があることを、見事に証明してみせた。
提供元は、印刷EC事業を手がけるラクスル。異分野に挑戦した理由について、同社プロデューサーの宮武 晋也(みやたけ しんや)氏が、語ってくれた。
・パソコン・スマホから最適なドライバーをマッチング
Q1:まずは、「ハコベル」提供のきっかけから、お聞かせください。
ラクスルはもともと、印刷通販で大きく事業を成長させてきた会社なのですが、印刷業界と運送業界は、業界構造が酷似しています。何兆円という巨大なマーケットの半数以上のシェアを、数社の大企業が占め、残りを何万社という中小企業が分け合うという、特殊な業界構造です。
そういった業界にインターネットを持ち込むことで、ラクスルは新しい需要を創造してきました。(そうした背景から)そこで培ったノウハウを、運送業界でも生かせるのではないかと思い、社長の松本の下、2015年5月より、新規事業としてスタートしたのです。
Q2:「ハコベル」とは、どんなサービスなのでしょうか。
パソコン・スマホアプリから、素早く簡単に最適なドライバーをマッチングして、荷物の配送予約ができるサービスです。
厳選した優良ドライバーを、インターネットでネットワーク化し、非稼動時間に配送することで、高品質かつ安価にご利用いただける仕組みとなっています。
サービスの内容としては、バイク便の車両が軽四輪(軽トラック、カーゴ車両)になったものとイメージしていただくと、わかりやすいかもしれません。軽四輪の車両をチャーターして、すぐに集荷・配送しますので、ちょっとした大きさの荷物を、時間の融通を利かせて配送するのに向いています。
運送会社側は、仕事が入っていない時間帯の活用によって、稼働率を高めると同時に、収益の向上を図ることができます。
・個人利用にも対応
Q3:主なユーザーとして店舗や企業を想定されているようですが、一般消費者が利用することは可能でしょうか。
一般消費者も、もちろん利用可能です。実際、自転車の配送やフリーマーケットの荷物を会場へ送るなど、さまざまな用途でご利用いただいております。
Q4:現在の利用状況と今後の展開について、教えてください。
現在は、さまざまな法人企業さまにサービスをご利用いただいております。例えば、展示会用の什器や商品の配送、印刷物の緊急配送、倉庫から店舗への商品の配送など、本当に幅広い用途で使われています。
また、今後の展開として、2トン車両やバイク便といった車両ラインナップの追加、集荷対象エリアの拡大を視野に入れております。
急な荷物が出たときに、大活躍しそうな「ハコベル」。テスト段階でも、高い顧客満足度を得たそうだ。現在の集荷対象エリアは東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・福岡県。新時代の配送サービスとして、どこまで成長するか今後の展開に期待したい。
ハコベル