それゆえ、大気中にどのような物質がどれほど含まれ、私たちの日常生活をどのくらい脅かしているのかを知る手段は、限られているのが現状だ。
・住民が地元の大気汚染状況を計測
カナダ・オンタリオ州のトロント市とハミルトン市は、地域の大気汚染状況をモニタリングするカナダ初の住民参加型プロジェクト「INHALE」に着手した。
このプロジェクトでは、両市それぞれ2つのコミュニティを対象に、地域住民がDylos社のウェアラブル式大気測定器「DC1700」を使って、近隣の大気中の粒子状汚染物質を測定。
大気測定器を身につけたり、自転車のハンドルやベビーカーに取り付ければ、測定者が徒歩や自転車で移動している間に、測定場所の位置情報とともに、データを収集できる仕組みだ。
大気汚染濃度の高低に応じ、赤・黄・緑で色分けされ、大気汚染が深刻な地点が一目で判別できる。
プロジェクトでは、地域の大気汚染状況を可視化することによって、大気質の改善に向け、地域レベルで、建設的な議論が活発に交わされるようになるのではと、期待を寄せている。
・シンプルなツールで、誰もが地域の“センサー”に
INHALEは、シンプルで手間のかからない計測ツールを活用し、地域の大気汚染をモニタリングする“センサー”として、住民を効果的に巻き込んでいる点が秀逸。
他の国や地域でも、大気汚染状況を可視化する試みとして応用できそうだ。