いま、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)などの研究者が開発を手がけているのは、デジタルペンを使った認知症早期診断ソフトウェアだ。
・時計の絵を描いて診断
デジタルペンというと、ペンで紙に書いた情報をデジタル化するもの。
メモ以外にも、絵や図などの作品を端末に保存するのに使うケースが多いだろう。
このデジタルペンを使って時計の絵を書いてもらうことで、パーキンソン病やアルツハイマー病などの早期診断が可能なのだという。
具体的な活用方法としては、医師の指示のもとで、デジタルペンを使って時計の輪郭だけでなく、指示のあった時刻を指す針なども描いてもらう。
・プロセスのデータを集める
ここで重要なのは、いかに正確に時計を描いたかに加え、どれくらい時間をかけて、どういう描き方をしたのかというプロセス。
デジタルペンがそうした情報を記録し、それをもとに脳に異常が認められるかどうかを独自のアルゴリズムで判断する。
研究チームによると、脳になんらかの問題がある場合には、描き始める前の考える時間が長かったり、描くのにかなりの時間を要したりする傾向があるとのこと。
・早期治療に道
開発背景には、認知症の早期診断が難しいという実情がある。
ほとんどの患者が受診するのは、はっきりとした症状が出始めてから。
しかし、実際には症状が顕著になる10年ほど前には脳になんらかの変化が起こっているのだという。
当然のことながら、早期に発見されれば、それだけ治療を早く始められることにつながる。
研究チームの1人は、「医療現場で診断に迷うケースも少なくない。そうしたときに、活用できるツールとなればいい」と話している。
マサチューセッツ工科大学