フラワー・ロボティクスが開発した「Patin」も、そんな未来を予見させる製品の1つ。
6月に自社のフェアにて、プロトタイプを発表。実機によるデモンストレーションを行い、好評を博した。
家庭用ロボットを、日常生活に浸透させるのが狙いの同社。代表取締役社長であり、チーフデザイナーの松井 龍哉(まつい たつや)氏に、詳しい話を聞いた。
・使いやすく生活になじむ形を追求
Q1:「Patin」開発の経緯を、お聞かせください。
創業以来、フラワー・ロボティクスのビジョンは“ロボットを日常の風景にすること”であり、その信念に基づいて、さまざまなロボットを開発・販売してきました。(中略)
ロボットは、最先端の技術を集積して作り上げるものですが、どれほど優れた機能を持っていても、人が利用する現場に適応しなければ、価値がありません。(中略)
そうなると、可能な限り人間の姿形に似せる、ということが本質ではなく、人が機能として使いやすい形状、日常になじむ存在に作り上げる必要がある、と想像しました。
そこで、新たに登場する未知の存在ではなく、すでに社会・家庭のなかにあるモノの延長線上にあるロボットとして、台車型の「Patin」を創り出したのです。
Q2:「Patin」の特徴について、教えてください。
一番の特徴は、台車型の形状をしていること、サービスユニットを本体に乗せて利用する点です。(中略)
ユーザーは、「Patin」上部に取り付ける、サービスユニットを付け替えることで、さまざまな機能が利用可能となり、活用の幅を広げることができます。(中略)
また、多くのロボットは、コミュニケーションに軸を置いたものですが、「Patin」はあくまで、“利用者の生活をより便利に快適にする”補助具としての存在であることも特徴です。
私たちがめざすロボットとは、おもちゃや人の寂しさを埋めるためのものではなく、人の生活をより豊かに、快適にする存在なのです。
・一般販売は2016年秋冬頃を予定
Q3:今後の展開について、教えてください。
製造のスケジュールとしては、今後は量産するためのプロセスに入り、2016年秋・冬までに、一般販売できる状態まで進める計画です。
ただし、「Patin」のような家庭用ロボットは、プロダクトとして存在しないため、家庭用ロボットの価値を世に広めていく必要があります。そのため、一般販売に先駆け、開発者や一部の利用者に対して、「Patin」を試験提供することを、想定しています。
家庭用ロボットの普及には自社だけでなく、少し先の未来のライフスタイルをともに考え、思いを同じくするパートナー企業と協力して行なう予定であり、発売までにプロモーション等にも、力を入れていくつもりです。
Q4:これからの社会で、「Patin」はどのような役割を担っていくのでしょうか?未来の展望をお聞かせください。
ロボットとは、最先端の技術を具現化した存在であるだけでは不充分であり、その機能が社会や人々に還元されてこそ、価値があるものです。
現在のテレビや洗濯機、冷蔵庫のように、あたりまえに家庭の中に存在し、利用されて初めて、家庭にロボットが普及したと言えるでしょう。
(「Patin」だけではなく)今後、他の事業者が生み出すであろうロボットも含め、日用品として、ロボットが人の生活になくてはならないものになる、そんな未来が訪れることを、期待しています。
Patin(フラワー・ロボティクス ホームページ)