目の代わりとなる白杖も、片方の手がふさがってしまうという問題があり、慣れた場所以外で単独の行動をとるのは、非常に難しいのが現実だ。
こうした課題を解決するために生まれたのが、「guide glass(ガイドグラス)」である。
眼鏡型ウェアラブルデバイスを介して、遠隔地にいる他者と、視野情報や位置情報を共有。周囲の状況に関する案内や、説明を受けられるという、期待のシステムだ。
開発元のパンタグラフでは、本格的なサービス提供に向けて、現在鋭意調整中。多忙な中、担当の吉田 靖規(よしだ やすき)氏が、取材に応じてくれた。
・離れた場所にいる人が目の代わりになる
Q1:まずは、「guide glass」開発のきっかけと経緯から、お聞かせください。
弊社では昨年から、ウェアラブルデバイスへの取り組みを検討し、この新しいテクノロジーを、社会問題の解決に使う方法はないか、と考えていました。(中略)
眼鏡型デバイスが持つ可能性を、世の中に提案できないかと模索していたところ、視覚障がい者の方が外出中、事故に遭うというニュースに触れる機会がありました。
いろいろと調べてみると、視覚障がい者の方々は、外出時にさまざまな 困難や、不自由があるということを知りました。
そこで、眼鏡型のデバイスを活用して、視覚障がい者の方々が外出時、困ったことが起きた際、サポートするサービスができないか、と考えたことが、 「guide glass」開発のきっかけです。
Q2:「guide glass」とは、どんなシステムなのでしょうか。
「guide glass」は、眼鏡型ウェアラブルデバイスによる、遠隔ガイド/サポートシステムです。
眼鏡型デバイスを装着した人が、その視野の情報と位置情報を他者と共有することで、自分の周りの状況に関する案内や、説明を受けることができます。
離れた場所にいる人と、自分の視野を共有し、その人に自分の目の代わりとなってもらえる仕組み、と言えます。(中略)
また、「guide glass」は、眼鏡型デバイスを装着したユーザーと、そこからの情報を受け取ってガイドする側のユーザー、それぞれが利用するための機能を実装しています。
ガイドする側のユーザー向けは、マルチデバイスに対応しており、パソコンのウェブブラウザでの利用、または専用アプリをインストールしたスマートフォンや、タブレットでの利用が可能です。
・目の不自由な人々の世界を広げる手段になってほしい
Q3:本格的なサービス化はまだ先だそうですが、現在の状況とそれまでの展開について、教えていただけるでしょうか。
本格的なサービス化には、もう一段、品質向上が必要だと考えており、現在取り組んでいる最中です。
また、その過程では、実証実験やモニターテストなども視野に入れており、実際に視覚障がい者の方々に使っていただく中で、改善点を見出していきたい、と考えています。
視覚障がいのある方に使っていただくサービスですので、やはりサービス化には、万全を期したいとの思いもあり、まずは品質向上に注力していくつもりです。
Q4:「guide glass」は今後、社会でどのような役割を担っていくのでしょうか。
新しいテクノロジーを活用して、今ある不自由を少しでも低減させることに役立てたいとの思いで、「guide glass」を開発しました。
これまで、さまざまな制約や不安から、一人での外出をちゅうちょされていた人々が、「guide glass」を使うことで、より自由に外出できるようになり、世界を広げるための手助けとなるような役割を、担ってほしいと思っています。
guide glass