・これまでの2倍のバッテリー持続が実現
ETH ZurichのSemih Afyon氏、Reinhard Nesper氏を中心とする開発チームでも、どうしたらバッテリーが長持ちするか、何年にもわたって研究を続けており、新しいガラス素材の開発を進めている。
この新素材は、なんと既存のリチウムイオンバッテリーに比べ、およそ2倍のバッテリー持続が実現する可能性をもっているという。
・蓄電効率、安全性も高い新素材
バッテリーには、効率的に蓄電する性能と、放充電サイクルの耐久性、および素材の安定性が同時に要求される。チームでは、バナジウムを基盤とした化合物に注目。
この物質は、既存の電極素材よりも、効率的なチャージを可能にする。しかし、その物質がもつ結晶構造の影響で、数度の放充電サイクルを経ると、安定性が劣化してしまうという。
そこでチームでは、バナジウム化合物にホウ酸塩化合物を加えた、新しいガラス素材を作り出した。高い蓄電効率と安定した構造を併せもつだけでなく、生産コストも抑えられるという、まさに夢のような素材だ。
・スマホなら2倍、電気自動車なら1.5倍も長く
これまでと比較すると、新素材によってスマートフォンなら1.5~2倍、電気自動車なら1.5倍程度のバッテリー寿命が見込まれるという。ただ、あくまでもまだ試験段階なので、今後の開発にはまだまだ時間がかかるようだ。
とはいえ、スマートフォンなどの電子デバイスや電気自動車だけでなく、発電所などより大規模な分野にも活用できる技術となる可能性もあるだろう。今後の研究開発が待たれる。
ETH Zurich