そこで、知らない場所の地図を、馴染みの場所と比べることで距離感が体感的にすぐ分かる無料地図アプリ「DoubleMap」がローンチされたのをご存知だろうか?
個人デザイナー・開発者の吉田巧(よしだたくみ)氏に話を聞いた。
Q1: DoubleMapの使い方を教えてください。
一方の地図で知りたい場所を表示して、もう一方の地図で自宅付近など馴染みの場所を表示します。
2つの地図は常に同じ大きさで表示されているので、すぐに知らない場所の大きさや距離感がわかります。
・「宿からここまでは、歩いていけるのかな?」がすぐわかる
Q2: どのような経緯でこのアプリを開発することになったのでしょうか?
旅行中やその計画中に地図アプリで旅先の観光地や宿などを確認していると、その場の距離感がよくわからないことがあります。
「宿からここまでは歩いていけるのかな?」などといった疑問がすぐ分からなかったり。
そんな時に自分の知ってる街と比べられたらすぐわかるのに、と思ったのが開発のきっかけでした。
・コンセプトから全てひとりで開発 直面した“歪み”の問題
Q3:このアプリは、個人デザイナーの吉田様がデザイン・開発されたと伺っています。大変だったと思いますが、開発時のエピソードなどをお聞かせください。
はい、アプリのコンセプトからデザイン・開発、ウェブサイトなど全て私ひとりで作業しました。
いちばん大変だったのは単純に2つの地図を同じズーム値で表示すればよいわけではないことが分かり、それを解決しなければいけなかった点です。
Google Mapなど一般的な地図は“メルカトル図法”を使って地球の地理を平面図にしているのですが、この方法のため赤道から遠い地域ほどより拡大されて描かれているという“歪み”の問題があります。
・2箇所を同じ縮尺で見られるアプリは DoubleMap だけ
例えば北極に近い北欧の国々と赤道に近い東南アジアの国々を同じズーム値で見ても北欧の方が2倍で表示されてしまいます。
DoubleMapではこのズレがなくなるように2つの地図の緯度から余分な拡大値を計算して、それが相殺されるようにズーム値を調整しています。
DoubleMapで一方の地図だけドラッグして南北を移動させるとそれに合わせてもう片方の地図のズームが変わるのはこういう調整の表れです。
類似アプリは、どれもこの縮尺のズレを解決していなかったり、2つの地図を違う縮尺で見るといったように目的が違ったりします。
2箇所を実際に同じ縮尺で見られるアプリは DoubleMap だけです。
Q4: DoubleMapローンチ後のユーザーの反応はいかがでしたか?
旅行先で便利に使っていただいたり、このアプリのお陰で行動範囲が変わった!と言っていただいたり、いろいろな場所を比べて遊んでもらったりしていて好評です。
旅行や出張用途だけでなく、ちょっとした地理トリビアや地理教育にも使っていただけたらなと思っています。
・有料版で広がる便利さ
Q5: DoubleMapは無料版と240円の有料版がありますね?有料版にアップグレードすると、どのような機能が手に入りますか?
以下の全機能が解除されます。
1. 上記の縮尺の自動調整に加えて、地図画面の“変形補正”が加わる(歪みが著しくなる広範囲の表示を、実際の地理に近づけます。国同士の比較などに最適!)
2. 2つの地図をピンチ→ 地図を重ね合わせて直接比較!
3. 無制限のお気に入り保存
4. 地図モードの追加(衛星写真モード、ハイブリッド表示、地形モード)
特にアメリカの街中などは一区画の大きさが日本の都市と違い、普段の感覚で歩き始めると疲れてしまうことがある。
DoubleMapをダウンロードしておけば、「ここから駅までは、新宿駅からあの店までと同じ」など、感覚的にわかるので重宝しそうだ。
(Writer: Saera Jin)