ただ、テストのたびに針で刺して血液を摂取しなくてはならず、痛みをともなう苦しいものでもある。
そんな糖尿病患者の助けになろうと、Googleでは昨年、涙に含まれるブドウ糖量を測定するコンタクトレンズの開発を発表した。
・糖尿病患者の血糖値を測定するタトゥー
それとはまた違ったアプローチを進めているのが、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者Amay Bandodkar氏のチーム。ナノ工学を活用し、患者の生体データを測定する“タトゥ型ウェアラブル”の研究をおこなっている。
・使い捨てで衛生的
このタトゥ型ウェアラブルには、フレキシブルな電子センサーが搭載されており、弱電流を流して、皮膚細胞内のブドウ糖量を測定する。使用後は使い捨てできるので、衛生的でもある。
開発チームでは、20~40歳台の糖尿病を患ったことのない健康な男女7人に治験してもらったところ、刺す痛みを感じた人がわずかにいたものの、ほとんどの人が測定に不快感を感じることはなかったとのことだ。
また、炭水化物の多い食物の摂取前と摂取後でテスト測定を実施。既存の針で血液採取する手法と、同程度の精度で計測ができたという。
・クラウドなどのサービスと連動も
開発チームとしては今後、Bluetooth通信機能をもたせて、タトゥによって測定されたデータをリアルタイムで担当医に送信したり、クラウド内にデータ保存するような仕組みを実装したい意向だ。
・血糖値以外の生体データの測定も視野に
さらに、血中に含まれるブドウ糖量だけでなく、代謝物質、乳酸塩、アルコールのほか、違法薬物などを検出できるよう、機能拡張することも視野に入れて、開発を進めていきたいとのこと。
糖尿病患者にとって、血液テストを怠ることは、重大な合併症を併発するリスクになる。これまで、1日に何度も痛みを伴う血糖値測定をするのが嫌で、テストの実行を怠りがちだった患者でも、この痛みのないタトゥであれば毎日続けられることだろう。
University of California, San Diego temporary tattoo