大規模なITビジネスパーク「ドバイ・インターネット・シティ」の存在や政府からの支援もあり、テクノロジー系スタートアップが多く台頭している状況である。
こうしたドバイで今年、29歳のフィリピン人起業家がDIYフレンドリーなテクノロジースタートアップGoMommy.ae(以下、GoMommy)を立ち上げた。ドバイを拠点とする同社は、中小企業のWebサイト構築を支援するだけでなく、環境保護のための植樹活動も行っている。
Webサイトが1つ作成されるたび、1本植林
GoMommyは、Webサイト構築ソリューションを手頃な価格で提供している。GoMommyのプラットフォームでは、ユーザーはあらゆる業界向けの140種類以上のテンプレートから好きなものを選択し、事前に構築された要素を使用してニーズに合うようにカスタマイズできる。なお、コーディングは不要(コーディングしたい場合は可能)。SEOへの対応、AIを活用した広告の生成、そのほかメールキャンペーンやソーシャル投稿なども可能だ。
ここまでは一般的なWebサイト構築プラットフォームと変わりないが、GoMommyは「プラットフォーム上でWebサイトが1つ作成されるたび、1本の樹木が植えられる」というユニークな取り組みを行っている。
同社は、10億本植樹イニシアチブ*の一端を担うUAEのコンサルタント会社The Storey Groupと提携し、GoMommyのプラットフォームを通じてWebサイトを構築する各企業が、その成長と植樹に貢献することを保証している。
10億本植樹イニシアチブ(One Billion Tree-Planting Initiative)*…2025年までに10億本の樹木を植えることを目標とする世界的な取り組み
樹木の生育状況の確認や“対話”が可能
GoMommyの植樹活動で植えられた樹木にはそれぞれ3D GPSトラッカーが付属しており、モニタリング・システムによって位置を把握できる仕組みだ。実際に該当ページへ移行してみると、GoMommyによって植樹された樹木が3Dの衛生地図上に表示され、その木の生育状況などが確認できた。木の世話をする農家の写真付きプロフィールも表示される。
スポンサードされた樹木には、GoMommyユーザーのWebサイトにちなんだ名前が付けられる。ユーザーはプラットフォームを通じて、樹木の成長をリアルタイムで追跡できるシステムだ。
また、画面左側にはチャット欄「TreeChat」があり、樹木の種類や現地時間などを質問して木そのものとバーチャルな「対話」によってコミュニケーションを図ることが可能。チャット欄上の「Forest Sound」では森の中の小鳥のさえずりを聞くことができる。
クライアントが樹林それぞれと繋がる仕組みへ
近年は、多くの企業が植林プロジェクトに参加している。例えば、無料デザインツールのCanvaでは印刷の注文ごとに、樹木を1本植えている。また、企業が温室効果ガス削減量・吸収量をクレジットとして売買できる「カーボンクレジット」も近年注目が集まる分野だ。GoMommyの取り組みには、香港のデジタル植樹技術ソリューションのプロバイダーEcoMatcherの技術が関連している。EcoMatcherによると、従来の炭素クレジット植林プロジェクトではプロジェクトレベルでの洞察しか得られず、個々の樹木レベルでの洞察は得られないという。そこでGoMommyは、ユーザーであるクライアントたちがテクノロジーを通じて1本1本の木と繋がる仕組みを採用。現在、GoMommyを通じて植えられた樹木はEcoMatcherのサイト上にて確認することが可能だ。
29歳のフィリピン人女性が設立
テクノロジーとエコロジーの統合は、GoMommyの設立者であるBea Bagac氏の「起業家のデジタルな成長と地球の物理的な成長の両方を促進すること」という目標からくるものだ。フィリピン出身の彼女は、テクノロジーと環境保護活動を結びつけることを夢見てドバイに移住。ドバイが起業に理想的な場所であると考えた彼女は、この都市の革新性と持続可能性への注力に刺激を受け、GoMommyの拠点をドバイに決定したという。
Bea Bagac氏は「UAEは画期的なアイデアの拠点であり、私は単なるビジネス以上のものを作りたかったのです」「GoMommyは、クライアントと地球の成長を象徴しています。Webサイトを作るたびに樹木が植えられ、その木はビジネスが成功する可能性の生きたシンボルとなるのです」と語る。
参考・引用元:
GoMommy
AccessWire
EcoMatcher
(文・Haruka Isobe)