一方で、いろんなメガネを持ち歩くことや掛け替える手間がかかることを考えると、面倒に感じる人もいるかもしれない。これを解決するのが調光レンズだ。
メガネレンズ大手のHOYA(東京)のカナダ子会社、HOYA Vision Care Canadaはこのほど、発色した状態から“素早く透明に戻る”調光レンズの新商品を発表した。ユーザーのフィードバックから生まれたアイテムで、色の引きが早いのが特徴だ。屋内と屋外を行ったり来たりする時でも、メガネを掛け替えることなくまぶしさを軽減できる。
掛け替える手間を省く
フォトクロミックレンズとも呼ばれる調光レンズでは、状況に応じてレンズが透明になったり色が付いたりする。オンオフの手動操作は必要なく、自動で可逆的に色が変わると聞くとマジックのようだが、フォトクロミックレンズは太陽光に反応して発色する仕組みになっている。ただし、スイッチのように一瞬にして変わるわけではなく、透明から色付きに、またはその逆も徐々に移行する。
つまり、日差しの強いところから暗い室内に入ってからしばらくは、サングラスをかけているようなもの。間を置くと着色は解消され、クリアに見えるようになるが、この色の引きが従来より“早く”なるようになっているのが今回発表されたSensity Fastだ。
カラーバリエーションはブロンズ・ブラウンとシルバー・グレイの2色となっている。
1分未満で半透明に
同社はすでに従来の調光レンズの「Sensity2」と、かなりまぶしさを感じやすい人向けの「Sensity Dark」を展開しており、「色が付いた状態からもっと早く透明に戻れば、との要望があったのだという。発表文の中でHOYA Vision Care CanadaのSteven Haifawi社長は「眼科医から寄せられた患者のフィードバックに耳を傾けた」と説明している。当然、Sensity Fastでどれくらい早く色が戻るのかが気になるところだ。同社によると、室内に入ってレンズが半分透明な状態まで戻るのにかかる時間は1分未満という。屋内と屋外を頻繁に行き来することが多い人にとっては、不自由な思いをすることが少なくなりそうだ。
紫外線をほぼ100%カット
HOYAのホームページによると、同社の調光レンズは紫外線を受けて発色し、日傘や帽子などで日光を遮る場合や、紫外線をカットするガラスを使用した車の中などではレンズの色が濃くならない。また、気温によっても色の濃度は異なり、気温が低い時のほうが濃くなるという。まぶしさを軽減できるのに加え、同社の調光レンズには紫外線のA波とB波の両方をカットできるという大きなメリットもある。発色していなくてもほぼ100%カットするという。
紫外線に長時間さらされると白内障などの病気につながる可能性もあることから、普段から使用することで常に目を紫外線から守ることができるのは大きい。
まぶしさは人によって感じ方が異なるものの、一般にメラニン色素の薄い人の方がまぶしさを感じやすい。カナダは人種が多様な国だが、同国統計局によると、2021年時点で同国の人口の約70%にあたる2,500万人強が白人であり、調光レンズの需要はアジア人が大多数を占める日本より大きいかもしれない。
参考元:
Canada Newswire
HOYA Vision Care Canada
(文・Mizoguchi)