その理由の1つとして、講義そのものが、一方通行で終わってしまうことが挙げられる。壇上に立つ講師は、1人ひとりの反応を図る術を持たず、聴く側も、自分の理解度を公の場でさらしたくない。その結果、講義する側と受講する側が一度も交わることなく、消化不良のまま、完結してしまうのだ。
それなら、講師と受講者双方が、インタラクティブな関係になれる仕組みを作ればいい。今回ご紹介する「イマキク」は、そのために誕生したサービスだ。手持ちのスマートフォンから、指定サイトにアクセスするだけで、リアルタイムに意見や質問ができるシステムを実現。受講者の本音をその場で把握する、「参加型講義」を可能にした。
開発元は天問堂(てんもんどう)。1人ひとりの「今」と向き合うサービスを提供し続ける代表取締役、野田 雅基(のだ まさき)氏から、詳しい話を聞いた。
・スマホ1つで講義に対する反応をリアルに把握
Q1:まずは、「イマキク」提供のきっかけと経緯からお聞かせください。
私自身、7年前から年に数回、講師として学生の前で話をする機会をいただいております。
その中で、「学生の理解が足らない箇所はどこなのか?」「自分の説明に過不足はないか?」など、反応を確認しながら講義を進めたいと思っていましたが、質問をしても無反応だったり無表情だったり、なかなか彼らの本音を知ることができませんでした。
講義後のアンケートを見ると、素晴らしい意見や質問が多く書いてあり、これを講義中に聞き出せていれば、もっと有意義な時間を提供できたのでは、と悩み続けました。そこで、スマートフォンを活用すれば、講義中の反応が簡単にわかるのではないだろうか、と考えるようになり、それがきっかけとなりました。
Q2:「イマキク」とは、どんなサービスなのでしょうか。
「イマキク」は、大勢の前で話をする人向けのwebサービスです。
自分が話す内容について、リアルタイムに反応が知りたいと思ったら、「イマキク」を思い出してください。話をしている最中、リアルタイムの投票・投稿によって、反応を知ることができます。
使い方は簡単で、サイトにアクセスし、投票用の質問と選択肢を作成するだけで、準備完了となります。直感的に操作できるように工夫しているので、マニュアルなど読まなくても、思い立ったら即使えます。
学生や受講者は、講義当日に自分のスマホから指定サイト「スグキク」にアクセスし、参加コードを入力します。その後は、講師側の操作に合わせて、学生や受講者のスマホに、質問と選択肢が自動で表示される仕組みです。
・学会、研修、イベントなど、あらゆる場面で活躍
Q3:本サービスは、どんなシーンでの活用が期待できますか。
「自分の話が受けいれられているのか、反応が知りたい」。これこそ、大勢の人前で話をする人が、最も気にしていることだと思います。
学校の授業だけでなく、学会、就職採用説明会、企業の社内研修、セミナー会場、イベント、結婚式の2次会など、質問と選択肢を工夫するだけで、十分活用できると思います。
Q4:9月まで無料利用できるとのことですが、その他の展開について決まっていることがあれば、教えてください。
スマホやタブレットを活用した教育は、米国を筆頭に海外のほうが積極的なため、2015年4月から米国のK-12(幼稚園から高校生までを教える)教育関係者を中心に、認知拡大を行います。また、アジア圏では大学を中心に、認知拡大に努めるつもりです。
Q5:「イマキク」を、どんなサービスにしたいとお考えですか。未来への展望をお聞かせください。
国内には、教育関係者の方々が情報交換を行う場が、少ないと感じています。「イマキク」は、教職員の皆さまが、ノウハウを共有できる場を提供します。
その先は価値観や嗜好性が似ている学生、教員同士を国内はもちろん、海外も含めてつなぐ役割を、担いたいと考えています。
イマキク(講師側)
スグキク(受講側)