しかしその反面、「管理がしづらい」「処方のたびに手帳が発行されるので、統合できない」など、不便さを訴える声があるのも、また事実だ。
そうした不満を解消してくれるのが、3月末にリリースされたばかりの「くすりれき」である。
面倒な薬の管理が、なんとたった1回のステップで完了。お薬シールや処方箋といった薬品情報が記載されたものを、アプリで撮影するだけ。OCR機能が薬の情報を抽出し、登録作業を代行してくれる仕組みだ。
自身の経験を元にサービスを考案したという、スマートケア、代表取締役の山本大輔(やまもと だいすけ)氏。実体験者ならではの細やかな配慮が、すべての機能に生かされている。
・薬の登録から配役、アラート通知まですべて自動で設定
Q1:まずは、「くすりれき」開発のきっかけと経緯から、お聞かせください。
私自身の介護経験と、チームメンバーに起きたある出来事がきっかけでした。紙のお薬手帳は発行されるたびに紛失してしまい、時系列できちんと服薬管理できていませんでしたし、処方通りに服薬していたつもりでも、いつも薬が余ってしまいます。
そこで、いくつかお薬手帳アプリを入れて管理してみたのですが、どれも良い面はあるものの、処方される薬品名の長さからか、一つひとつの入力がとても面倒でした。またあるチームメンバーは、子どもの発熱などで救急外来にいったとき、その子に副作用が出る薬を回答できず、保護者として自責の念にかられました。
どちらも大切な人が健康になってほしいと願っているのに、かえってストレスを感じてしまっていたんです。そんな状況を少しでも改善したいと考え、開発したのがこの「くすりれき」です。
Q2:「くすりれき」とは、どんなサービスなのでしょうか。
撮影するだけでお薬登録から配薬、アラート設定までを自動で完結するお薬手帳です。撮影した処方情報をもとに画像解析をし、あらかじめ設定された時間配分に自動で配役、アラート通知まで行ってくれます。
また、医療従事者に対してわかりやすく提示するため、すべてを「服薬履歴」「アレルギー発症薬」「今現在服薬している薬」の3つに分けて、確認できるようにしています。
Q3:他のお薬手帳サービスとの違いは、どこにあるのでしょうか。
撮影から配役、アラート設定までを一回の撮影で完結するところだと思います。配役からアラート通知までを自動で設定できるものは、調べた限り、他にはありません。
・医療を受ける前のちょっとしたストレスを軽減したい
Q4:開発にあたって、最も苦労されたのはどんなところでしょうか。
画像解析部分です。先ほども申し上げたとおり、処方薬は長い名前が多くて、ただでさえ覚えにくいものです。それは画像解析にも、当てはまります。正直まだまだな部分なので、今後は解析を担っているサーバ側の技術向上を、図っていくつもりです。
Q5:今後の展開について、教えてください。
技術面では解析技術の向上に努めつつ、子どものいる1,234万世帯に対して、普及活動を行っていきます。服薬管理アプリって、多くても推定20万DLくらいで、世帯数に対してまだ1%くらいしか、使われていないんです。その比率が増えるよう、普及活動を行いつつ、まずは年内10万DLをめざしていきます。
Q6:「くすりれき」はこれからの医療に、どのように貢献していくのでしょうか。未来への展望を、お聞かせください。
私やチームメンバーが感じたような、医療を受ける前段階のちょっとしたストレスがなくなればいいな、と思っています。そういう積み重ねが、介護や子育てのストレスの原因だと思うんです。「くすりれき」を使うことで、そういったストレスが軽減されることを願っています。
撮影するだけのお薬手帳 くすりれき