この年齢測定ツールは、Veriffの公式サイトからブラウザ版を利用可能だ(18歳以上対象)。
同意のボックスにチェックを入れて「Start Challenge」をクリック、ウェブカメラが起動するので円の中に顔をおさめて「撮影する」をクリックするだけだ(データおよび画像は保存されず、他の目的で使用されることはない)。
AIと人間の知見を掛け合わせ、誤差は1~3歳
このAI年齢測定ツールは高度なアルゴリズムおよび機械学習技術を拡張したもので、人間の顔の特徴を分析、複数の要素に基づき学習結果としての年齢推測を行う。Veriffの創設者兼CEOであるKaarel Kotkas氏は、「2018年に初めて年齢推定ツールを開発したときは、私は14歳と判定されてしまったんです」と振り返る。結局はリリースされなかったそのツールと比較すると、今回は正確さがはるかに向上したとのこと。
同氏の年齢も適切に判定されたらしく、「スタートアップの大変な数年のせいで童顔だった私が急に老け込んだだけかどうか、このツールに判断をゆだねてください!」と冗談を交えながら語っている。
誤差の範囲は約1〜3歳程度とのことだが、Techable編集部で試したところ撮影場所の明るさによって4歳多かったり10歳若かったりと結果はまちまちだった。
AIによる年齢測定で証明書なしの年齢確認を目指す
ビデオゲームやSNSプラットフォーム、一部マッチングアプリの登録時、酒やたばこの自動販売機、バーやクラブへの入場時など、オンラインでもオフラインでも年齢確認が必要になるケースは多い。企業の多くは可能な限り正確な年齢確認を目指してはいるものの、プライバシーやセキュリティの観点から身分証の提示による年齢の「証明」までは求めていないのが現状だ。しかし、消費者の自己申告だけでは不正を防止できない。2023年10月にはイギリスで子供のポルノ閲覧防止などを目的とした「 Online Safety Act 2023」法案が通過したが、セキュリティリスクやプライバシー侵害などの問題が指摘されている。
日本では2023年1月に、セルフレジでの酒・たばこ販売についてコンビニ業界団体が新しいガイドラインを作成。デジタル技術による年齢確認導入に向け、実証実験が行われる予定だ。
このガイドラインで挙げられた方式は、店頭の端末での身分証明書読み取り、顔写真と個人情報を事前登録する顔認証、マイナンバーカード機能搭載のスマホ使用の3つだが、いずれも身分証に基づいている。これに対して、Veriffの新しい年齢測定ツールは顔さえあれば済む利便性が特徴だ。
230以上の国と地域で身分証明ソリューションを提供
2015年にエストニアで設立されたVeriffは「自分であること」を最も重要な個人資産とし、積極的にその保護を行なうスタートアップだ。デジタルに透明性をもたらし、誰もが安全に利用できるオンライン環境の創造に尽力している。2022年に行ったシリーズC調達により、エストニアで9番目のユニコーン企業となった。現在、世界230以上の国と地域で幅広い身分証明ソリューションを提供するVeriff。今回発表の年齢測定ツール以外にも身分証明やKYC、生体認証などのサービスでもAIを活用している。人間のフィードバックや知見、専門知識で強化された学習をAIによる自動化と組み合わせた先進技術を軸とする。
2024年の3月には、DigitalOceanの元COOであるJeffrey Guy氏の代表取締役兼COO就任を発表。オンライン詐欺の脅威によって増加するID認証需要に対応していくとしている。
参考・引用元:
PR Newswire
Veriff
(文・せな)