実用化して普及すれば、ホテルやオフィスにとビジネスチャンスが無限大に広がる。ソニーなど大手各社が開発に力を注いでいる新しい分野だ。
そんな話題の「スマートロック」「Akerun」が世界に先駆けて3万8880円(税込)と比較的手頃な値段で新発売される。株式会社フォトシンス、代表取締役社長の河瀬航大(かわせこうだい)氏に話を聞いた。
・つまみに貼り付けるだけ スマホが鍵に
Q1: ずばりAkerunとは、どのような物ですか?
「Akerunは、ドアの内側のサムターン(つまみ)に貼り付けるだけで、いつも持っているスマホが鍵になり、LINEやメールで合鍵を送ることができるスマートロックロボットです。
手元のスマホで専用のアプリを操作すると、ドアにとりつけたAkerun本体とスマホがBluetooth認証し、鍵を開錠・施錠します。アプリの操作で鍵の権限の受け渡しができるため、離れた場所にいる人に合鍵を渡したり、渡した相手の入退室履歴をリアルタイムで閲覧したりすることができます。
合鍵を複製されるリスクもありません。また、Akerunはオートロック機能も備えているため、Akerunを設置したドアは締めたあと自動的に鍵がかかり、鍵の閉め忘れを防止することができます。」
・ITベンチャーから独立 「モノとヒト」とをネットに繋ぎたい
Q2: どのような経緯 でこのサービスを開発することになったのでしょうか?社長の簡単な経歴とともに、このベンチャーに発展した経歴を教えてください。
「元々は、ガイアックスというITベンチャー企業で『人と人をネットでつなげる』というビジョンのもと、ソーシャルリスニング事業を推進していました。
次は、『モノとモノ』『モノとヒト』とをネットでつなげたらおもしろいのではないかと思っていました。
そこで、家の中で様々なモノを見渡したときに、家電だったり、ライトだったり、 既にネットにつながっている事例があるモノが多いなと思いまして・・・。せっかくだから、ネットどころか、電気すら通っていないモノにネットをつなげることに挑戦しようと考えました。そこで、(当時はそんな言葉も知らなかったのですが)いわゆる「スマートロック」を開発することになりました。」
・銀行で使われる高度なセキュリティ技術を採用
Q3: この商品を開発中、苦労した点はありますか?
「サムターン(ドアの内側のつまみ部分)には色んな形状のものがあるのですが、様々なサムターンに対応できるよう調整するのが苦労した点です。
また、セキュリティ対策が非常に重要だと認識しておりますので、製品の検証には特に力を入れています。」
Q4: 今年4月に発売予定の「Akerun」ですが、スマートキーを先行体験したユーザーの反応はいかがでしたか?
「合鍵をスマホアプリの操作で渡せるというのが便利でユニークだねという反響が1番多いです。これまでは、誰かと鍵を共有したい場合は、相手に鍵を直接渡すか、合鍵を作るしか方法がなかったので・・・。他には、「鍵を持ち歩かなくてよくなった」『鍵の閉め忘れの不安がなくなった』などの声も多くいただいております。
お客様のほうから、『Akerunをこういうふうに利用したら面白いんじゃないか』と言う様々な提案もいただいております。もちろん、セキュリティに関してもお客様からの反応は非常に多いので、第三者機関のチェックをいただきながら何度も検証を重ね、万全の対策をしております。銀行などでも使われる高度なセキュリティ技術を取り入れており、セキュリティレベルは非常に高いです。」
Q5: 非常に将来性のある「スマートロック」の事業は、ソニーなど大手企業が相次ぎ開発参入していますね。 Akerunはどこで買えるのですか?
「現時点では、AkerunのWebサイトですでに予約申込みが始まっています。
販売価格は、3万8880円(税込)です。今後は、AppBankストアでの販売も予定しております。」
工事も工具も一切不要。ただ貼り付けるだけ。特許出願済みのこの商品で、フォトシンス社はますます成長しそうな予感。まずは自分の部屋で機能と信頼性を確かめた後で、将来的には是非とも家の鍵として使用したい、ワクワクするような新しいテクノロジーだ。
スマートロックロボット「Akerun」
(Writer: Saera Jin)