ARグラスの分野で躍進目覚ましい中国企業の中でも、2023年にユニコーンとなったRokid(霊伴科技)が好調だ。1月には合肥市主導で100億円の資金を調達。4月に発表した最新ARグラス「Rokid AR Lite」は、7月11日にKickstarterでのクラウドファンディングプロジェクトが終了したばかり。
2000人以上の支援者から日本円で1億8000万円もの資金を集めるという大成功を収めた(現在も残りリワードに対して遅延プレッジが可能)。6月から日本の量販店で販売開始された同社製品のうち、「Rokid Max」も日本のクラファンサイトで1億円の資金を集めた実績がある。
グラスとコントローラーのセット「Rokid AR Lite」
新製品「Rokid AR Lite」は、ARグラスとコントローラーをセットで提供する空間コンピューティングデバイス。グラス(ディスプレイ)は重量75グラムの「Rokid Max 2」、コントローラーは「Rokid Station 2」となっている(Rokid Max 2はMaxの上位モデル)。センシングやコンピューティング、バッテリーモジュールなどの機能が集約されたコントローラーは、マルチタッチ対応のタッチパッドで操作を行う。現実の空間に仮想空間を重ねるOST(光学シースルー)方式採用により、手元のコントローラーでアプリを操作できる。
300インチの大画面は輝度最大600nits、解像度(片目)1080P/1200P、コントラスト 100000:1で高い映像品質を実現。3画面表示モードでは、3つのアプリを同時に使用できるので、作業画面を表示しながら映画を流したりゲームを進めたりのマルチタスクが可能だ。
家庭・エンタメ・旅行の3つのシーンでの利用を想定したという製品で、ビデオ会議や文書編集などの業務はもちろん、マップやナビとしても活躍する。パソコンやスマートフォンなどのデバイスとワイヤレス接続できるほか、USB Cポートを備えたRokid Hubを使えばNintendo Switchにも接続可能。
「AR四小龍」の一角、AR先駆者を自認するユニコーン
「ARの先駆者」を自認するRokid社は、中国のAR製品大手「AR四小龍」の一角に数えられる(ほか3社はNreal、Thunderbird Innovation、INMO)。2014年7月に中国・杭州で設立されてから現在までに9世代のARグラスを発表。2023年11月にシリーズCラウンドで170億円を調達、ユニコーン入りを果たした。今年1月の政府系ファンドからの資金調達のように、企業だけでなく市政府ともパートナーシップを結んでいる。
同社の製品は100か国以上で100万人以上のユーザー数を誇るほか、独自技術は宇宙ステーションや世界のTOP500企業30%以上で導入されているという。AR技術・製品のエコシステム構築に貢献した同社は、AR製品を周知するマーケティング活動も展開。今年2月には海南航空とのパートナーシップにおいて同社機内で乗客がRokidのARグラスを試用できるキャンペーンも行った。
7月9日付けのプレスリリースでは、Androidスマホブランド複数との提携を発表、共同で画期的な視覚体験を創造していくとした。業界横断的なパートナーシップによりRokidのAR技術がAndroidスマホに統合され、Androidスマホ分野としては初となる現実世界と仮想世界の視覚体験が融合を果たすことになる。
引用元:
Rokid
Kickstarter
PR Newswire
(文・根岸志乃)