国際通貨基金によると、金融業界におけるAIへの支出は2027年に970億ドルとなる見込みだ。年平均成長率は29%で、主要5産業のなかで最も速いペースで成長するという。
AIのなかでも、テキストや音声を認識し自動で応答する“会話型AI”は日本をはじめ世界各国で活用されている。たとえば、2023年8月にはインドの中央銀行であるRBI(インド準備銀行)が、AIとの会話を通じて支払う「会話型決済」の導入を検討していると発表した。
こうした会話型AIの普及が広がるなか、シンガポールに本社を置くAI企業のDyna.Aiは、今年5月にドバイで開催された『ドバイ・フィンテック・サミット』にて、会話型AIを含むAIプラットフォームを発表した。
多言語対応の“AIアシスタント”で顧客体験を向上
Dyna.Aiは最先端のAI技術を活用し、ビジネスのデジタル化とインテリジェント化を促進するAIサービスのリーディングカンパニー。伝統的な銀行、デジタルバンク、フィンテック企業、保険会社など幅広い機関にサービスを提供している。今月、同社はドバイ国際金融センターが主催するドバイ・フィンテック・サミットに参加。今年で2回目の開催となる同イベントは、世界的な金融組織やトップ投資家が集結し、フィンテックと金融の未来に繋がるツールや規制、枠組みを共同で作り上げるというものだ。
Dyna.Aiはイベントのなかで、金融業界をはじめ複数の業界に適用できる最新のAIプラットフォームを発表。同プラットフォームは「Dyna Athena」と「Dyna Avatar」、2つのソリューションで構成されている。
Dyna Athenaはテキストの読み上げ、言語・音声処理を含む顧客とのコミュニケーションやインタラクションのためのAIソリューション。マーケティングやプロモーション、顧客獲得、リスク管理、生産性の向上を支援し、各業界の収益アップを促す。
一方、Dyna Avatarはアラビア語、英語、中国語、日本語、タイ語でリアルタイムの音声会話が可能なヒューマノイド・カスタマー・アシスタント。顧客に快適な体験を提供し、組織のイメージと効率を大幅に向上させる。
どちらのソリューションも銀行、フィンテック、そのほかさまざまなビジネス向けにカスタマイズされたLLM(大規模言語モデル)を活用したタスクに特化したものだ。自然言語による対話を強化することで、よりリアルで魅力的な会話を実現できる。
アジア、中東、欧米などへ事業を展開
ドバイ・フィンテック・サミットでDyna.AiはAIプラットフォームだけでなく、正式にグローバル展開することも発表。世界進出の一環としてアジア、中東、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカで事業を開始するとの意向を示した。現在、Dyna.Aiは本社をシンガポールに、そしてインドネシア、タイ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、メキシコなど世界6か所に現地オフィスを構えている。こうしたグローバルな経営は、高度なスキルと専門性を持つメンバーによって支えられているという。
スタンダードチャータード銀行、シティバンク、JPモルガン・チェースなど著名な金融機関の出身者や、コンピューター・サイエンス、AI/ML、統計学などの分野で高度な学位を取得した者たちの幅広い専門知識により、Dyna.Aiはこれまで複数のクライアントへのサービス提供に成功した。
なお、従業員の50%以上は研究開発のイノベーションに取り組んでおり、地域や国におけるローカルサービスの提供と運用の支援に重点を置いている。今後、Dyna.Aiは「世界をリードするAI技術」と「各国のローカルな金融サービスのニーズへ応えること」の融合に注力する方針だ。
参考・引用元:
Dyna.Ai
PR Newswire
(文・Haruka Isobe)