人手不足やコスト削減などの解決手段の一つとして期待される協働ロボットだが、一方で課題もある。協働ロボットは人に危害を加えないよう、サイズや重量、スピードが制限されているのだ。安全性を確保するために必要な制限ではあるが、一般的な産業ロボットと比べると生産性がやや下回る印象だ。
そんななか、韓国発の協働ロボットメーカーであるDoosan Roboticsは、最新の協働ロボットシリーズ「Pシリーズ」を発表。5月に米国・シカゴで開催されたロボット工学とオートメーションの展示会『Automate 2024』にて、同社製品のなかで最高レベルの可搬重量とリーチを誇る新型の協働ロボットを公開した。
2023年に上場したばかりの韓国ロボットメーカー
Doosan Roboticsは、韓国財閥企業のDoosan Corporationグループが2015年に設立した協働ロボットメーカー。本社を構える韓国をはじめ欧州、中国、米国などグローバルに販売代理店網を設けており、2019年には日本の住友商事マシネックスと総販売代理店契約を締結した。Doosan Roboticsはこれまでに代表シリーズの「Mシリーズ」に加え、食品・飲料業界向けの「Eシリーズ」、パイパワーの「Hシリーズ」、速度に優れた「Aシリーズ」を展開。製造、物流、食品・飲料、建築、サービス産業など、幅広い分野に対応するAI協働ロボットを提供し、その世界クラスの安全性と精度で2020年には150億ドルの収益を生み出した。
2021年12月には400億ウォン(約3,000万ドル)、2022年1月には3,370万ドルを調達(参考)。そして2023年10月、上場により4,212億ウォン(約3億1,700万ドル)を調達し、同時点で韓国最大のIPOとなった。
Doosan Robotics最長のリーチを誇る「P3020」
今回、Doosan Roboticsが発表したPシリーズは、物流および輸送過程でモノを台に整列・積載する“パレタイジング”に特化したシリーズ。主な特徴として「同様の積載用ロボットと比較して低消費電力」「動作速度が向上している」などがあげられる。同シリーズの新型「P3020」は、同社最長のリーチを誇る協働ロボット。可搬重量は30kg、リーチは2.03mで、床から2mの高さまでパレタイズすることが可能だ(高さ約20cmの箱を10段まで積み重ねられる)。
高まる“協働ロボットへのニーズ”に応える
2022年にHシリーズを発売して以来、Doosan Roboticsはオランダのスキポール空港やWacker韓国支社などの主要グローバル顧客を獲得し、世界市場シェアを72%と大幅に向上させた。今年は、これまでで最高の可搬重量とリーチを特徴とするPシリーズの発表により、これまでの実績を上回る期待が高まっている。
Doosan RoboticsのCEOであるWilliam Ryu氏は、「Doosan Roboticsは動作プラットフォーム企業として、人間の動作を強力かつ安全に模倣する協働ロボットへの高まるニーズに応えています」とコメント。
さらに「指数関数的なペースで成長を続けているロボット産業において、当社は『最大限のパワー、最大限の効率、最大限の安全性』を念頭に置いた協働ロボット開発という使命のもとソフトウェア、協働ロボット、AIの差別化を図ります」と語っている。
参考・引用元:
PR Newswire
Doosan Robotics
(文・Haruka Isobe)