自国の気候に寄り添った人工衛星を開発でき、しかも自国のロケットで宇宙まで打ち上げられる国は世界では少数だろう。
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Image Credits:Ricult
人工衛星とAIを駆使
前述でRicultを「アメリカに拠点を置くスタートアップ」と紹介したが、経営者はマサチューセッツ工科大学の学生だったタイ出身のAukrit Unahalekhaka氏とパキスタン出身のUsman Javaid氏だ。従って、それぞれの出身国とベトナムにてRicultを運用している。![](https://techable.jp/wp-content/uploads/2024/05/3d1d5bdea7fc4975ce0e72777bb4b027.png)
Image Credits:Ricult
それらのデータが表示されるのは、スマホアプリ上。Ricultのプラットフォームを取り入れた農家は、農園管理に関する最新の情報をいつでもスマホで確認できるのだ。もちろん、遠方にいたとしてもインターネット環境さえあれば自分の農園の現状を知ることができる。
すでに500万エーカーの農地を分析してきた実績を持つRicult。これまでサポートしてきた農家の数は60万近くにのぼる。
農家対象の金融事業も
Ricultは天気予報や農業衛星情報の提供だけでなく、農家に対する金融事業も行っている。これは新興国の農業関連スタートアップに共通することだが、オンライン分析サービスを普及させるには金融事業の展開も考慮しなければならないという事情がある。
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Image Credits:Ricult
Ricultは、そうした農家に対して50万ドルの経済支援を行ってきた。
日本からも出資
先にも触れたRicultの異常気象検知システムは、衛星画像などのデータからAIが起こり得る現象を分析するというものだ。AIは日々学習し、賢くなっていく。今やAIで文章を作成することができ、イラストも描けるということは誰しもが知るところになった。いずれは人間の気象予報士よりも精度の高い天気予報も提供できるかもしれない。また、異常気象が頻発している現代においてAIによる予測はもはや欠かせないものになっている。
そんなAIを活用しているRicultは、世界各国の投資家から注目の視線を集めている。日系企業も例外ではなく、2021年5月には日本の双日がこのスタートアップに出資している。
人工衛星とAIを組み合わせ、その上で金融事業も展開するアグリテックスタートアップは、食料危機の可能性を本気で想定せざるを得なくなった我々現代人に大きなヒントを与えてくれるだろう。
ここ数年は異常気象や動乱・紛争の勃発などで食料価格が高騰し、それに応じて「農業の効率化・近代化」が強く要望されるようになった。Ricultは、そうした世界的課題を解消する急先鋒になり得るスタートアップと言えよう。
参考・引用元:
Ricult
双日株式会社
(文・澤田 真一)