スーパーマーケットやコンビニエンスストア、大手チェーン店舗と大きく違うのは、売掛金・買掛金、いわゆる“ツケ払い”ができることだ。
通常であれば「〇月〇日、ジョンさんが小麦粉1kgをツケで買った」という記録を逐次残していかなくては商売が成り立たないが、この業務を紙とペンで行うと恐ろしく煩雑な作業になる。
そこで今、インドではPsi Phi Global Solutionsという企業が提供するPOSアプリ「OkCredit」が広く活用されるようになった。
インドでは「ツケ払い」は当たり前
インドの個人商店「キラナストア」は、日本人に対して分かりやすくたとえるなら『ドラえもん』のジャイアンの実家、通称「剛田商店」である。作中の剛田商店は雑貨屋ということになっているが、実は食料品や日用品も取り扱っている描写もある。インドではこうした店は「キラナ」「キラナストア」「キラナショップ」と呼ばれている。この記事では「キラナストア」で統一したい。
利用客のほとんどは近所の住民で、日常生活に必要なものはキラナストアに行けばとりあえず間に合わせることができる。そして、どうせ近所の住民なのだから支払いをツケにしても当面の問題はない。いざとなれば取り立てに行けばいい。そうした背景から、インドのキラナストアや大衆食堂ではツケ払いがごく普遍的な支払い手段として成立している。
問題はツケすなわち売掛金の管理である。紙とペンで記録する場合、どうしても煩雑になってしまう。他の客との売掛金の記録が混ざってしまった、というトラブルも珍しくない。
OkCreditは、それを解決する業務用スマホアプリだ。
紙おむつも基本は「バラ売り」
POSアプリは複数あるが、OkCreditの場合は「客ごとの売掛金の管理機能」が充実している点に大きなアドバンテージがある。客の氏名をプロフィール写真付きでリスト化し、電話番号といった連絡先も組み込んだ上で「この人物がいつこの商品をいくらで買ったのか」という記録を作成できる仕組みだ。メッセージアプリWhatsAppとの連携機能もある。
ツケ払いを選択する客は、日本人から見れば極めて細かい会計の買い物をする。たとえば粉コーヒー1袋12円、紙おむつ1枚37円、インスタントラーメン1袋23円……といった具合に、少額の買い物をツケ払いに回す習慣がインドでは根付いている。
そして、キラナストアでは粉コーヒーにしろ紙おむつにしろタバコにしろ、箱ではなくバラすなわち1個単位で売るのが一般的だ。日系の製紙メーカーや殺虫剤メーカーはそれをよく心得ているため、現地向けの商品はバラで販売することを前提にして包装している。
しかし、バラ売りは店の会計をどうしても煩雑化させてしまう。そこへツケ払いが加わると、もはや紙とペンでは完全に対応できない作業になってしまう。そのせいで店主が忘却してしまう売掛金も、当然ある。個人経営の店舗にとって、これはかなり大きな経済損失だ。
OkCreditを導入することで、店主は売掛金を確実に回収できるようになるのだ。
インドの主要言語に対応
OkCreditのもうひとつの特徴、それはインド国内の主要言語に対応している点だ。インドの連邦公用語はヒンディー語だが、この言語を話すインド国民は約4割。そのほかテルグ語、タミル語、ウルドゥー語、ベンガル語といった言語が続く。インドの準公用語的な扱いの英語も全国民が習得しているわけではないため、同じインド人でも会話ができないということは珍しくない。なお、これらの諸言語に用いられる文字も全く異なる。
10以上の言語に対応するOkCreditは、すでにインド国内2,800以上の都市に広がり、1,000万以上のダウンロード実績を有している。
キラナストアのDX化を促すアプリとして、OkCreditは今後も成長拡大を続けるだろう。
参考・引用元:OkCredit
(文・澤田 真一)