AIが搭載された同サービスは、既存のCCTV監視カメラやそのほかのカメラに接続することで、安全基準やコロナ対策の観点で「それぞれのSOP通りに作業ができているかどうか」を監視するツールとなっている。
新しい機器を必要としない効果的かつ手頃な価格のサービスであり、ホスピタリティ、小売、食品サービス、そのほか主要産業分野の幅広い需要を満たせることが特徴だ。
導入事例としては、クラウドキッチン事業を手掛けるKitopiやRebel Foods、フィットネス事業を手掛けるcult.fit、衣料品チェーンのApparel Group、不動産会社のMax Estatesなどがあげられる。
AI搭載ビデオ分析プラットフォームで監視を自動化
WobotはAdit Chhabra氏、Tapan Dixit氏、Tanay Dixit氏の3人によって2017年に設立されたインド発のスタートアップ。米国にもオフィスを構えている。同社は、既存のCCTV監視カメラに接続して、リアルタイムかつ実用的な洞察を生成するAI搭載ビデオ分析プラットフォーム「Wobot.ai」を提供している。
同プラットフォームはQSR、クラウドキッチン、レストラン、接客業、小売業、製造業など、さまざまな業界向けに構築されたAIチェックリストを搭載。接続したカメラを通じて、従業員があらゆるSOP、業界標準、または政府の指令を遵守しているかを監視する。
なお記録した洞察はダッシュボードを通じて関係者に配信される。タスク違反が発生した場合は即座にアラートで通知され、タイムリーに異常を把握できる。
コンプライアンス遵守を称賛することも意味する
企業や店舗は、同プラットフォームで監視作業を自動化することにより、そのほかの仕事に集中できる。また、人の目で従業員がコンプライアンスに遵守しているかをチェックする際にかかるコストをカットできるほか、人為的なチェックミスなどを防ぐことも可能だ。Wobotの共同創設者兼CEOであるAdit Chhabra氏はYourStoryの報道で「Wobotのビジョンは常に、カメラが第3の目として機能し、業務中の従業員に継続的なフィードバックを提供する、透明性の高いでシームレスな職場を構築することでした。これは、必ずしも(従業員の)違反を指摘することだけを意味するわけではなく、適切なSOPに従い、コンプライアンスの遵守を称賛することも意味します」と述べている。
フード産業や製造業、小売業を中心に導入
Wobot.aiの適用分野は多岐にわたるが、コロナ禍ではとくに食品衛生面が重要視されるフード産業での採用が注目された。例えば、インドをはじめグローバルにクラウドキッチンチェーンを展開するRebel Foodsでは、手袋やマスク、制服の着用、正しい手洗いなど衛生基準に関する内容がSOPに定められており、これらを遵守することが必要とされている。
Rebel FoodsはWobotのサービスを使用することで、手順を遵守しない異常があれば、常時検知・通知されるという仕組みを構築した。
YourStoryの報道によると、Wobotは2020年にプレシリーズAの段階で250万ドルの調達に成功したという。これまで同社のサービスはフード産業や製造業、小売業を中心に導入されているが、今後さまざまな分野で活用されていくことが期待される。
参考・引用元:Wobot.ai
(文・たに おさむ)