大気汚染を測定する、世界初のウェアラブル
そんな社会問題に取り組もうと、UC Berkeleyの学生が開発を進めているのが「Clarity」である。小型のウェアラブルデバイスで、大気中の汚染物質を測定するツールだ。
特殊センサーがPM2.5からアンモニアまで検出
「Clarity」には、汚染物質を検知する特殊なセンサーが搭載されており、PM2.5や揮発性有機化合物、二酸化窒素、アンモニアといった大気汚染物質を検出する。このセンサーは、ボールに太陽光が当たって反射するとき、はね返る粒子の量を測量するのと同じような仕組みで作動するのだという。
クリップで留めて持ち運べる
とても小型のデバイスなので、クリップで留めて、カバンやベルトループ、自転車などにくっつけて持ち歩くのにピッタリ。もちろん、自宅やオフィスに定点で置いておき、常に空気の状況をチェックできるようにしておくのもよいだろう。
専用のアプリからリアルタイムでモニター
「Clarity」には専用のスマートフォンアプリが用意されているので、ユーザーはリアルタイムで測定結果を参照することが可能だ。汚染レベルのほか、外出したり、外で活動するのにもっとも安全な時間帯を確認したりできる。さらに、デバイスは併せて気温と湿度も測定表示してくれるので便利。
開発者の1人、Hannah Hagen氏によると、このデバイスは子どもをもつ親や喘息患者、スポーツ選手、環境問題に関心が高い人のほか、中国など汚染がひどいエリアの人に有用だと考えているという。今後は、汚染の進むインドやメキシコなどの地域にも拡大していきたい意向だ。
世界中からデータを集め、クラウドデータとして活用も
より多くの人が「Clarity」を利用すれば、各地の測定データが集まり、世界の大気状況のクラウドデータとしての役割も果たすようになるだろう。個人が自衛のために用いるだけでなく、行政、都市開発の担当者などが、地域の大気の状況、どこがもっとも汚染がひどいのかなどを把握し、都市計画や運営に生かすようなことも考えられる。
生きている限り、大気の問題は誰にでも平等に関係してくる。常日頃から、環境に対する意識を高くもっていたいものだ。
Clarity