コマンドの使用に苦労している人におすすめしたいのが、2012年設立の韓国企業VTOUCHが発表したChatGPT搭載のスマートリング「WIZPR RING」。ウェイクワード(音声アシスタントを起動させるための言葉)不要、ささやくだけで操作できる“バーチャルアシスタント”だ。
同製品は現在、クラウドファンディングサイトのKickstarterにてプロジェクトを実施中。目標金額をすでに達成している。
静かな“ささやき”で操作できるスマートリング
WIZPR RINGはユーザーがChatGPT、GeminiなどのAIボットにコマンドをささやくだけで、即座に応答を受け取るというスマートウェアラブルリング。どんなに静かなささやきでも認識するため、電車やバスなどの移動中でもプライバシーを守りながらアクションを起こせる。常時オンのマイクを備えたGoogle HomeやAlexaとは異なり、WIZPR RINGには近接センサーが組み込まれており、リングのマイクを口に近づけたときにのみアクティブになる仕様だ。「OK, Google」や「OK, Alexa」などのウェイクワードを使わずに、すぐに操作できる。
ノイズに強い近接音声認識を使用しているほか、リングを離すとマイクが自動的にオフになるため、周囲の雑音や会話とコマンドが混同することはない。
なお、データはWIZPR RING自体には保存されず、スマートフォンにのみ保存されるため、個人情報がクラウドにアップロードされる心配はない。万が一、指輪を紛失した場合でも、ユーザー情報の安全は保たれる。
「What's Up」でメッセージや天気予報を読み上げ
WIZPR RINGは、日常生活をより効率的にするための幅広い機能を搭載している。たとえばスマートフォンアプリと連携し、ユーザーの「What's Up」という言葉に反応して、新しいメッセージやカレンダー、天気予報などを読み上げることが可能。ユーザーは自然で人間らしいAIとの会話を楽しめるだろう。
また、多様なパーソナルアシスタントにアクセスできるのもWIZPR RINGの魅力。
WIZPR RINGはApple HomeKit、Google Home、Amazon Alexa、Samsung SmartThingsなどのMatter(スマートホーム共通規格)対応IoTデバイスを簡単に制御できる。
動画では、WIZPR RINGを通じて自宅の照明を調整する様子がうかがえた。
ボタンを押して「SOSモード」「修正モード」などを実行
また、WIZPR RINGは、アクションをすばやく指示するための便利なボタンを搭載。実行されるアクションは、ボタンが押された回数によって異なる。ボタンを5回押すと、SOSモードがONに。SMSを介して現在地と緊急連絡先にアンビエントアラートを送信する(連絡先は送信者が誰であるかを確認できる)。
また、音声入力後にボタンを2回押して変更したい単語を言うと、誤認識した単語を見つけて自動的に修正することが可能だ。
VTOUCHの“非接触タッチ技術”
WIZPR RINGを開発したVTOUCHは、韓国のAI/ディープラーニング企業。Google Koreaが開催した「Machine Learning Challenge 2017」で1位を獲得した注目の企業だ。同社の目標は、スマートフォンやPCの画面ベースのコンピューティング環境を超えて、画面なしでAIとの会話によって操作を実行する「会話コンピューティング環境」と、物理的な空間のなかで多様なデバイスやオブジェクトとインタラクションを行う「空間コンピューティング環境」を実装すること。
現在、VTOUCHはWIZPR RINGのほか、画面に触れずにスマートフォンやタッチパネルなどを操作できるコントローラー「SpatialTouch」、ホログラムのボタン「HoloButton」 の開発に取り組んでいる。
AIにささやいたり、空中で指を動かしたり…といった非接触操作を可能にするVTOUCHの技術は、利便性に加えて安全性という面でも注目される。
とくにSpatialTouchやHoloButtonは、接触による感染リスクが低く衛生的。また、たとえばエレベーターやトイレのボタンなどがイメージしやすいが、車椅子ユーザーや身長の低い人などがボタンへ手が届きづらいなど、物理的に操作が難しい場合において誰もが手元でスムーズに扱えるようになる。
直感的な操作とバリアフリーを両立したVTOUCHの製品は、次世代のツールとして幅広い層に重宝されそうだ。今後も同社のユニークな製品に注目していきたい。
参考・引用元:
Kickstarter
VTOUCH
(文・Haruka Isobe)