コンパス型ナビゲーターBeelineは、専用アプリに接続すると目的地までの方向と距離を示してくれるアイテム。自転車のハンドル部分に取り付けることで、いちいち止まってスマートフォンで方向を確認せずに済むと話題になった。
シリーズ初代は2015年にクラファンプロジェクトを成功させたスマホ連動コンパス「BeeLine」だ(この製品だけLが大文字)。当初は自転車用だったが「バイク用もぜひ!」という要望を受けて、翌年にはシンプルで実用的なバイク用ナビデバイスとして「Beeline Moto」が登場している。2021年には自転車用の新型「Beeline Velo」が誕生。今回のMoto IIはバイク用Motoの後継機となる。
新型の「Beeline Moto II」、進化した点は?
初代Motoのユーザーを含め、世界中から寄せられる声をもとに5年の時をかけて進化したBeeline Moto II。走る楽しさを追求したバイク用ナビゲーションデバイスで、使いやすく洗練されたインターフェースにより、快適なナビゲーション体験が得られるという。グローブを着けたままでも操作しやすいようにボタンを上面に付け操作性が向上したほか、画面が超広視野角のIPS TFTにアップデートされさまざまな角度からも見やすくなった。
本体直径はほぼ5センチのまま、画面の表示エリアと解像度が初代Motoの約2倍に。分かりやすいインターフェースで迷わずスムーズな走行を実現した。必要な情報が一目でわかる「ミニマップビュー」を見れば、分岐点でどちらに行けばよいのか正確に把握できる。また、ユーザーの意見を反映して人気の矢印のみ表示はコンパスモードで維持した。
14時間持続するバッテリー、豊富なマウントオプション
長持ちするバッテリーも冒険を妨げないための特徴の1つで、充電の残りを気にすることなく14時間という長時間のツーリングを楽しむことができる。新たに開発された「充電用インサート」を使用すれば走行中の充電も可能。バッテリー切れの心配なく冒険に集中できるとしている。充電用インサートはクラウドファンディングのリターンにオプションで追加できるほか、Moto IIの正式販売以降はウェブサイトで購入可能になる予定。
屋外で長年使用できるよう配慮された設計も心強いポイント。雨の日でも使える完全防水で耐衝撃性も備えているので、どんな天候や路面状況でも安心だ。万が一故障したり、バッテリーの交換が必要になった場合でも、簡単に対応できるようモジュール式の修理方法を採用している。
Beeline Moto IIにはナビゲーション機能だけでなくスピードメーター、オドメーター、時計、到着予定時刻も搭載されており、走行速度や距離などをリアルタイムに把握可能だ。どんなバイクにもBeeline Moto IIをシームレスに装着できるよう、豊富なマウントオプションが用意されているのもうれしい。
3種のモードで意外なルートを提案、仲間と共有も
単なる移動ではなく自由と発見を楽しむというツーリングの醍醐味を最大限活かすために、Beeline Moto IIには「Fastモード」「Funモード」「コンパスモード」の3種が用意されている。急いでいる時や時間短縮にこだわるライダー向けのFastモードは、最速で駆け抜けるルートを。Funモードは単調な直線ではなく変化に富んだルートを選択し、景色や街並みを楽しみながらのツーリングを提案する。コンパスモードは目的地の方向のみを指し示し、自分の頭で考える自由なルート探索を可能にする。
また、GPXルートを簡単にインポートでき仲間と共有することも可能。自分のお気に入りルートを共有したり、仲間のルートを参考に新しい旅に出かけたり…ツーリングの楽しみが広がりそうだ。訪れた場所などの走行記録も残せるので、ツーリングの良い思い出となるだろう。
Beeline専用アプリは全製品に対応しており、日本語を含め7言語に設定可能。アプリを使えば外出先でも簡単にルートを作成し、Beeline MotoまたはBeeline Moto IIに直接送信できる。
類似品と比較してBeelineは何が違う?
バイク用の「Beeline Moto」を実際に日本で使用したユーザーには、一般的なナビと違って進む方向や曲がり角など、道案内に必要な情報“しか”表示しないシンプルさが新鮮に受け止められている印象だ。また、「Funモード」や「コンパスモード」で示されるルートが予想外で面白いという感想も。普通のナビでは案内されないようなマイナーなルートを提示されることが多く、「新たな発見と喜びを体験できた」という声も寄せられている。また、他社の類似製品と比較してみると、見た目の美しさやシンプルさに関してはBeeline製品が突出している感がある。
イギリスのサイクリスト2人が開発・起業
Beelineはロンドン西部のチジックに拠点を構えるスタートアップ。元科学教師でトライアスロンに夢中なMark Jenner氏と、以前住んでいたアフリカが大好きで、無類の冒険好きでもあるTom Putnam氏という異色のコンビが共同設立者だ。設立者の2人は、スーツ姿で働いていた2011年に出会って以来の仲間。共同設立のきっかけは2015年の実体験だった。2人はランチの約束をしたものの、自転車で道に迷って辺りをウロウロしたのだ。「自分たちみたいに道に迷ってグルグルしてる人は他にも大勢いるのでは?」と考えた彼らは、解決策を見出すべく起業することに。
たった2人でスタートした同社も今では20人のチームに成長。サイクリストとライダーから愛される製品作りに日々取り組むメンバーがソフトウェアやルーティング開発、カスタマーサービス、ロジスティクスまで全工程をカバーしている。
始まりは自転車向け製品だったが、2018年にバイク乗りからも要望が寄せられたことでユーザーベースは「二輪車に乗るすべての人」に拡大。以来同社は、世界中で10万人を超えるサイクリストとライダーのコミュニティを築いている。
合計で1億4千万キロもの距離を走ってきたBeelineユーザーたちは、βテストにも参加しフィードバックすることで製品改良に貢献している。オフィス外のコミュニティメンバーにも支えられた企業なのだ。
(文・根岸志乃)