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Start Up バイオハックで睡眠の質改善や集中力UP、若き科学者たちが生みだしたウェアラブルデバイス「amofit S」

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バイオハックで睡眠の質改善や集中力UP、若き科学者たちが生みだしたウェアラブルデバイス「amofit S」

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寒暖差や気圧の変化が激しい季節の変わり目、自律神経の乱れからくる不調を感じる人も少なくない。そんな不調をバイオハック技術で解消するという、先端ウエラブルデバイスを紹介したい。

ヒトの迷走神経と自律神経に着目したバイオハック技術によって、睡眠の質改善やストレス・不安の軽減および集中力アップなどの効果が期待されるというウエラブルデバイス「amofit S」である。

Image Credits:Indiegogo

2つのモードで副交感神経を調節、リラックスや集中力UPに

amofit Sは、開発・販売を手掛けるAMO Lab社独自の神経調節技術cVES (cervicothoracic vagus electromagnetic stimulation)が採用された製品。人体から発生する固有の磁場に似た微細な電磁信号を、心臓付近に送り込んで胸部の迷走神経の迷走神経の緊張を調節するというユニークな生体電子ウェアラブルデバイスである。

使い方は簡単で、デバイスの背面にあるクリップを使って首回り付けるか、ネックレスのように首からかけたり襟もとに裏面のクリップで留めたりして装着する。

Image Credits:AMO Lab

非接触型ニューロテクノロジーが採用されているため、既存の神経刺激デバイスとは違って強い刺激は不要。肌に直接接触させる必要もない。効果範囲は半径約23センチで電磁信号は皮膚や骨を問題なく通過するので、衣服の上に着けても効果は変わらない。

使用する際は、目的に合わせて「CALMモード」または「FOCUSモード」のいずれかを選択する。

Image Credits:AMO Lab

CALMモードは気分を落ち着けたいときに副交感神経を活性化させてくれるモード。副交感神経が優位になると血圧が低下し、リラックスした落ち着いた状態になるのだ。

自律神経系のバランスが回復することで心拍数や呼吸数を安定させ、ストレスレベルが軽減されるとのこと。ストレス・不安の軽減のほか睡眠の質改善にも効果が見込まれるといい、就寝前だけでなく、人前で話す場面で緊張をほぐすのにも使えるかもしれない。

一方、FOCUSモードは集中したいときに使用する。脳のアルファ波を増幅させるので、集中力、記憶力、創造性向上が期待できるそうだ。作業に取り掛かるまで時間がかかる人、集中が持続しないことに悩む人にとって助けとなってくれそうである。



開発元によると、2つのモードの“バイオハッキング”で交感神経と副交感神経が切り替わるので、体内のバランスが維持されるだけでなく迷走神経や自律神経に関連する慢性疾患にも効果が期待できるとされている。

ユーザーの半数超が初日に効果を実感、安全性も確認済み

amofit Sを1日30分身に付けることで、ほんの数日で心身ともに本来の自然な状態に戻るという。同社の臨床研究およびユーザーからのレビューによると、60%以上が1~3日間の使用で効果を実感したとか。臨床報告では、症状が重篤な人ほど大きな効果が得られたことがわかっている。重度の睡眠障害に悩む人が使用初日に大幅な改善を実感したという例もあるそうだ。

amofit Sが発するマイルドな電磁信号は、人体が発生する磁場の強度に比べて非常に低いレベルで、地球の電磁場の1/10程度。人体同調原理に基づく自然な神経刺激ということなので、副作用もなく安心して使用できるという。アメリカ、ヨーロッパ、韓国で認証を受けた安全な製品だとしている。

Image Credits:AMO Lab

サイズは約40×35×90ミリ、重さ13.9gグラムとコンパクト。首から下げてもこの重量なら負担は少ないだろう。バッテリーは8~9時間持続するのでちょうど日中の就業時間中に着用できる。充電所要時間は1時間から90分となっている。

AMO Lab社誕生と製品開発までの道のり

amofit Sの開発・販売を手掛けるのはAMO Lab社。独自の神経刺激プラットフォームをベースとしたバイオエレクトロニクス企業として、2016年に米国および韓国で設立された。

起業のきっかけは2012年にさかのぼる。米イリノイ大学の若き科学者チームが、マイルドな電磁信号を使用することで心拍数変動(HRV)が急速に増加するということを実験中に発見したのである。さらなる臨床研究において、この治療プロトコルが自律神経系のバランスを回復し、加齢に伴う慢性疾患を治療できる可能性が確認された。

Image Credits:AMO Lab

AMO Lab社およびamofit S誕生までの道のり

2016年の設立後もcVESの概念実証や複数回の臨床試験、製品デモ、学術論文掲載、3D臨床試験などを続けた末、2019年に韓国のクラウドファンディングサイト「Wadiz」にて第一世代「AMO+」のクラウドファンディングプロジェクトに成功。2249名の支援者から5点満点で4.5点のレビュースコアを獲得した。

第一世代の発売後も2年間をかけて支援者やユーザーとコンタクトを取り、製品の機能と治療プロトコルを改善。その結果、AMO+の機能をグレードアップさせた「amofit S」が2022年に完成する。2022年4月にはクラウドファンディングサイトIndiegogoで4840人の支援者から1億6千万円を超える資金を集め、大成功を収めた。2023年には製品デモを行い、amofit SのSHOPIFYオンラインストアがオープンしている。

Image Credits:AMO Lab

企業ミッションは「老化の遅延・停止・逆転」

近年日本でも話題の「バイオハック」。世界のバイオハッキング市場は2023年の239億ドルから、CAGR19%で2030年までに679億ドルにまで成長すると予測されている。

AMO Lab社はまさに、物理学と生体電磁気学を利用して生物学的な影響を与えることにより、人体の機能を“強化”できるという、新たな治療法の可能性を見出したバイオハック企業だ。

睡眠の質改善やストレス軽減によって長寿と健康への効果をうたうamofit Sは、高齢者が使用するとアンチエイジングとしての役割も発揮できることを示唆している。同社の使命は『副作用のない自然で安全な治療によって老化を遅らせ、止め、さらには逆転させること』。革新的なウェアラブルデバイスamofit Sは、バイオエレクトロニクスの未来に確かなビジョンを描く、若い科学者達のたゆまぬ努力と臨床研究の結果として完成したものだと思うと感慨深い。

引用元:AMO Lab

Indiegogo

(文・根岸志乃)

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