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Tech ICTを通じて教育、健康、ジェンダーなどの国家問題へアプローチ。ガーナのNGO団体“Africa ICT Right”の取り組み

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ICTを通じて教育、健康、ジェンダーなどの国家問題へアプローチ。ガーナのNGO団体“Africa ICT Right”の取り組み

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アフリカでは4Gの普及、安価なスマートフォンの登場などにより、スマートフォン普及率が近年急速に上昇している。

携帯電話の人口普及率について、総務省の平成29年度の資料によると、最も低い水準であるとされるアフリカでもすでに8割を超える普及を遂げており、近年は先進国と途上国との間にそれほど大きな差はなくなっているとされる。同資料によれば、従来型の携帯電話に代わってスマートフォンが開発途上国においても普及が進んでいることから、スマートフォン経由でインターネットにアクセスする環境は整備されつつあるようだ。しかしながら近年では、インターネットの利用料金が障壁となり普及が進まないといった点も課題視されている。

こうした機運を背景に、アフリカ各国においては、ICTを通じた経済発展や、社会課題を解決していく取り組みが進められている。ICT教育への取り組みが活発化している地域のひとつであるガーナを拠点とするNGOAfrica ICT Rightは、ICT活用を通じてアフリカの教育、健康、ジェンダー、農業分野に関する国家問題に対処するために設立された団体である。

十分なサービスを受けられていない子どもへ質の高い教育を提供

2007年に設立されたAfrica ICT Rightは、ボランティアチームによって運営されているNGOだ。ICTなどのテクノロジーを活用して、十分なサービスを受けられていない地域の子どもや青少年に質の高い教育を提供することを目標としている。同団体は、過去16年間にわたりグレーター・アクラ地域、ボノ地域、ボルタ地域、アシャンティ地域を含む8つの地域で健康、教育、ジェンダー、STEM教育、若者のエンパワーメント、農業などの幅広いプロジェクトを成功させてきた。

寄付金全体の約96%はパートナーや寄付者から資金提供を受けた特定のプログラムやプロジェクトの実施をサポートするために使用。残りの4%は日々の運営費をカバーするために使用しているという。

Africa ICT Rightが展開する6つのプログラム

Africa ICT Rightが展開しているプログラムは主に6つ。各プログラムの内容は以下のとおりだ。

農業プログラム

ガーナでは、農業がGDPの20%を占め、人口の60%が雇用されているにもかかわらず、最新テクノロジーの導入が限られているため、生産性は低いままだ。

Africa ICT Rightは農業プログラムにて、スマートフォンアプリを通じて、オーガニックで環境に優しい農業技術を手頃な価格で提供。小規模農家のスキルアップを目指すとともに、農村部の生計の持続可能性を高めることを目的としている。

教育プログラム

ガーナでは不登校率が高く、地方での質の高い教育へのアクセスの制限、資格のある教師の不足などの課題がある。

Africa ICT Rightの教育プログラムでは、学校にコンピューター・ラボを設置したり、STEMの教師にICTを教育や学習に取り入れる方法をトレーニングしたりすることで、教育へのアクセスと質の向上を目指す。

ジェンダープログラム

ガーナではSTEM分野に在籍する女子学生はわずか32%で、STEM教育における男女格差が依然として存在している。この男女格差は、科学技術分野における女性の参加、進歩、革新を妨げている。

そこでAfrica ICT Rightはジェンダープログラムにて、学校やテクノロジー企業と提携し、STEM分野での機会を追求するためのコーディングやデジタルのスキルとリソースを女子高生へ提供。テクノロジー分野における男女格差を埋めることに重点を置いている。

健康プログラム

ガーナの出生10万人あたりの妊産婦死亡率は310人であり、妊産婦の健康が差し迫った課題だ。質の高い出生前ケア、熟練した助産師、適切な施設へのアクセスの欠如は、妊婦の予防可能な死亡や合併症につながる。

Africa ICT Rightの健康プログラムは、これらの割合を減らし、医療へのアクセスを向上させることを目指すというもの。

地域の医療従事者と妊婦に携帯電話を持たせて、重要な妊娠・出産の情報を母国語で(テキストや音声で)送受信するように促すことで、地域の医療システムを改善し、妊婦と乳児の死亡率低減を目指す。

STEMプログラム

ガーナでは質の高いSTEM教育へのアクセスが限られており、高等教育機関で科学関連のコースを履修している学生はわずか17%だという。限られたリソース、教師不足、時代遅れのカリキュラムにより、学生のSTEMキャリアが妨げられている。

Africa ICT RightのSTEMプログラムでは、最先端のSTEMラボを設立し、STEM教育者となる教師を訓練。教育インフラを整え、生徒の可能性を引き出す。

さらに、エンジニアリング、コーディング、エレクトロニクス、ロボット工学のプログラミングなど、学校向けに放課後STEMクラブプログラムを提供する。

青少年エンパワーメントプログラム

ガーナでは若者の失業率が12.5%と高い水準でありながら、スキル開発プログラムや経済的機会へのアクセスが限られているため、若者が自分の可能性を発揮する機会が阻害されている。

Africa ICT Rightの青少年エンパワーメントプログラムでは、提携校に起業家精神クラブを設立。生徒に実際の収益を上げ、収益を維持する本物の零細企業の立ち上げと管理に必要なスキル、リソース、メンターシップ、ガイダンスを提供する。

3月開催の「ICT4D Conference」に出席

Africa ICT Rightは2024年3月にガーナで開催される、IT技術を活用した経済開発(ICT4D)に関する国際会議「ICT4D Conference」に出席する姿勢だ。Africa ICT RightのエグゼクティブディレクターであるDaniel Ganyoame氏が、ガーナの国家的課題に対処するためにICTツールを活用することについて講演する予定だという。

Africa ICT Rightの取り組みが注目される機会となるだろう。

参考・引用元:Africa ICT Right 公式サイト

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