Udaanはインド語で「鳥、翼、飛躍」を意味する言葉。社名どおりに、さらなる飛躍となるのかUdaanの近況を見ていく。
BtoBコマースを展開するUdaan
BtoBコマースは、企業同士が商材の売買を行う“Business to Business(法人対法人)スタイル”のeコマースのこと。Amazonや楽天のように一般消費者を対象にしたBtoC(法人対消費者)とは異なり、卸売り価格で大量に取引されるのが特徴だ。日本では、「モノタロウ」や「アスクル」がこれに該当する。BtoBオンライン版の道を切り開いたとされるのは、中国のグローバル大手アリババだ。Udaanはインド版アリババとも呼ばれる存在で、インドのBtoBコマースをリードする存在である。アプリ上で日用品からホーム&キッチン、事務用品に野菜・食料品、衣料品・ホビー・家電などをワンストップかつ低価格で提供している。
Ganesh Chaturthi brings auspicious beginnings and success for businesses.
udaan wishes everyone a prosperous and Happy Ganesh Chaturthi. Here's to bringing Bappa home again! 🙏🏻✨
#udaan #GaneshChaturthi2023 pic.twitter.com/rLaOdkESxi
— udaan (@udaandotcom) September 19, 2023
Ubaanは900の地域で300万人以上もの登録ユーザー数、そして2万5000~3万人もの販売者ネットワークを持っている。インドの6000万以上のMSMEを占める1500万の製造業者、2500~3000万の小売業者、1000~1200万のオフィス・学校・HoReCa関連企業などに対して手軽なアクセス、そして全国的なリーチを提供している。こういった開拓の余地が広い点も、インドeコマースの魅力のひとつである。たとえば2022年度における日本の法人数は178万社であり、国内のeコマースとはスケールが大きく異なる。
売買プラットフォームだけでなく、物流倉庫・流通サービス、輸送・配送サービスを展開しているのも同社の強みだ。シームレスなプロセスを通じて、買い手(小売業者)が製品を選択し、売り手(卸売業者、ブランド、メーカー)に注文。売り手がそれを梱包して発送することが可能である。
あの巨匠Amazonでさえ、自社配送を最近開始しているが、まだ100%自社で賄えていない。実績が浅いながらも急成長を遂げた理由がここにある。
2023年12月に3.4億ドルの資金を調達
2023年12月に発表されたUdaanの資金調達は、英国の商業銀行M&Gが主な融資元だ。すでに資本参入しているベンチャー・キャピタルのLightspeed Venture PartnersとDST Globalも融資に加わっている。コロナ禍がインドのeコマース普及の契機となり、2021年だけで同国は40社のユニコーンを記録している。Udaanもその急流に乗った1社だ。
今回の3億4000万ドルという額面は、2023年のインドのスタートアップでは最高記録となる。複数のメディアによると、資金調達の目的は新規株式と負債の転換(転換社債)としての運用が検討されているとのことだ。
転換社債とは、スタートアップの融資方法としてよく使われる方法で、融資額を債券(借用書のようなもの)として発行し償還日になると、元本が融資元に変換される仕組みになっている。発表時点では、まだ正確なUdaanの評価額については明かされていない状況だ。
Udaanは今後もさらに飛躍していくか?
Udaanの評価額は、2021年1月の資金調達ラウンド後の時点で32億ドルを記録している。しかし、それ以降は赤字が続いた。以前の負債も転換社債としているため、償還時期がきている可能性や、今回の融資の特性からも実質の評価額は現状よりも低くなるとの指摘もある。
ただ、ユニーコーンクラスになると転換社債は債券というよりは、条件がまだ決まっていない株式(将来の)として扱われることが多いという。シリーズDを最終段階としてIPO(証券取引所への新規上場)に進むケースも少なくない。今回の融資も、近い将来の上場が期待されている裏付けとする見方もあるようだ。
今後、Udaanは飛躍していくのだろうか。2024年度の動きに注目したいところだ。
参照:Udaan公式サイト
(文・MI001YOU)