そんなエジプトのDX化を後押ししている企業が、2008年に設立されたエジプト企業のFawryだ。創業以来、オンラインショッピングやキャッシュレス決済に対応する多様なデジタル決済サービスを拡充してきた。
同社は中小企業向けデジタル貸付、食品配達アプリへの出資、ソーシャルeコマースプラットフォームへの投資など、革新的なビジネスモデルを展開。特にコロナ禍では消費者需要の変化を捉え、多くの人が電子決済サービスに切り替えたことも追い風となり、エジプト初のユニコーン企業として地位を築き上げた。
消費者向けのデジタル決済アプリ「Myfawry」
いまやFawryは、デジタル決済プラットフォーム、デジタル金融ソリューションの大手プロバイダーとして名高い。消費者、企業、金融機関へ向けてさまざまな決済サービスを提供している。同社の消費者向けサービスとしては、デジタル決済アプリ「Myfawry」、プリペイドカード「Yellowcard」などがあげられる。
Myfawryは携帯電話の通信料、公共料金、学費、寄付などをオンライン上で支払えるアプリ。使い方はシンプルで、アプリをダウンロードしてアカウントを登録し、利用可能な300以上の支払いサービスから選ぶだけだ。
Myfawryでは、無料プリペイドカードのYellowcardを利用可能。必要な特定の金額をYellowcardにチャージしたり、月次制限を設定して予算を管理したりできる。
企業向けのデジタル注文・商取引ソリューションも提供
またFawryの企業向けサービスは、デジタル注文マーケットプレイス「Fawry FMCG」や、デジタル商取引ソリューション「Fawry Accept」などがあげられる。Fawry FMCGは、FMCG(日用消費財)企業や小売業者に専門的なソリューションを提供し、よりスムーズなキャッシュレス取引を可能にするもの。販売者は注文アプリを通じて、FMCG企業から希望の商品を簡単に注文することが可能。購入者は運転資金の効率を向上でき、供給者はより早く支払いを受け取れるため、互いに業務効率を向上させることができる。
Fawry Acceptは、支払いをサポートするオプションを提供するもの。卸売業者から金融機関まで、あらゆる種類・規模の企業に合わせてカスタマイズ可能だという。
売り手はPOS、モバイルによる支払い、配達時のオンライン支払い、チェックアウト時の支払い、リンクによる支払い、定期支払いなどビジネスに適した決済方法で買い手にリーチできる。
ダッシュボードを使用すれば、すべてのビジネス活動をリアルタイムで監視することが可能。最先端の分析で、顧客の好みに関する洞察を得られ、マーケティングへの活用が期待できる。
「銀行代理サービス」で銀行のコストを削減
多角的に企業や消費者の決済をサポートするFawryは、くわえて金融機関のニーズにも対応。銀行に代わって特定の銀行取引を行う「銀行代理サービス」がその一例だ。同サービスを使用することで、銀行は支店ネットワークのコストを削減できるだけでなく、顧客に提供する商品をリモートで拡張することができる。
ブロックチェーン・AI活用の新たなソリューション開発
デジタル技術の進化に伴い、Fawryはさらなるイノベーションを追求している。ブロックチェーンやAIを活用した新しい決済ソリューションの開発、セキュリティと利便性の向上を目指したサービスの改善など、先端技術の導入に注力することにより、消費者と企業の両者にとってより安全で効率的な決済の実現を目指している。今後Fawryはエジプトだけでなく、中東北アフリカ地域においてもデジタル決済のリーダーとしての地位を強化していく構えであり、さまざまな地域の特性に合わせたサービスの開発などを進めていく方針をみせている。
参考・引用元:Fawry 公式サイト
文・Alley(有吉隆浩)