ソーラーパネルを活用、大気中の水分を飲み水に
Kristof Retezar氏が開発している「Fontus」は、ソーラーパネルで動作し、大気中に含まれる水分を飲み水に変換するボトル装置。ボタンを押してスタートさせるような仕組みではなく、自然にセルフで水を満たしていく。大気環境にもよるが、1時間もすると、最大約0.5リットルの水を集められるという。
Retezar氏は、自宅の風呂場を実験場に選んだ。風呂場なら、空気の温度と湿度を調節しやすく、異なる条件下で実験がしやすかったからだ。30回以上に渡る実験を経て、ようやく継続的に水滴が凝縮する条件を特定できたという。
内部は、熱する部分と、冷却する部分にわかれている
このツールは、熱くて湿気を含んだ大気を冷やすことで水を生み出す。装置の内部には、Peltier Elementという冷却システムが配置されている。この冷却システムは2つの部分に分けられていて、それぞれが独立した状態になっている。
電気動力で稼動が始まると、上段の部分は冷たくなり、底部側は熱くなる。底部には大気が高速度で取り込まれていく。上段側には小さな壁の仕切りがあり、取り込まれた大気の動くスピードを減少させる。大気を冷却させ、空気中の水分を放出させるための時間を稼ぐのである。このようにして、熱された水分が冷却され、安全な飲み水が出来上がるというわけ。
世界の水不足問題にも寄与する可能性も
「Fontus」は、自転車にフィットし、コンパクトで取り扱いしやすい形状にデザインされている。Retezar氏によると、現在、世界中で40カ国以上の国、20億人の人々が水不足に悩んでおり、2030年には全世界人口の47%が水不足の問題に直面するという。「Fontus」はもちろん、自転車の長旅に適した自転車用アクセサリーだが、地下水が不足している高温多湿なエリアなどで、飲み水の確保のためのシステムとしても役立ってくれるかもしれない。
Fontus