これには、利息(リバ)の禁止、不確実性(ガラール)や投機(メイサー)の排除が含まれる。
アジアで成長を見せているイスラム金融だが、デジタル化が進んでいないという課題も。世界経済評論によると、イスラーム金融におけるフィンテック市場の規模は、世界全体の1%未満と推計されているという。この格差は、一般の認識不足やアクセス制限、世界のイスラム教徒の若年層比率の高さなどが原因であると考えられる。
そんななか、イスラム金融のデジタル化を後押しする企業が登場している。今回は、シャリア準拠のフィンテック企業を紹介していく。
イスラム文化の金融市場を牽引する「Funding Societies」
Funding Societiesは、2015年に設立されたシンガポール拠点のフィンテック企業。中小企業と投資家をプラットフォーム上で結びつけ、資金への迅速かつ簡単なアクセスを可能にすることを使命としている。同社はP2Pレンディングプラットフォームの運営者であり、特に中小企業向けにシャリアに準拠した融資商品を提供中。現在はシンガポール、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムの5カ国でサービスを展開している。
新世代アプリ「Zoya」でさらに活気づく投資機会
米国ニューヨーク州を拠点とするZoyaは、新世代シャリア準拠投資アプリ「Zoya」を提供している。同アプリでは、2,500以上のETFと相互基金への投資を可能にし、15,000以上の株式に関するシャリア準拠レポートを提供。また、12,000以上の米国、英国、カナダの株式に対するシャリア準拠レポートも利用可能。シャリア準拠の投資を管理する支援を行い、ザカートの計算や寄付の支援も提供する。
Zoyaは、投資のモニタリング、シャリア準拠のアラート、ザカートの計算、さまざまなアカウントタイプへの接続といった強力な機能を搭載。金融アドバイザーやファンドマネージャーへの高額な手数料を支払う必要がない新しい投資管理方法が提供している。
2023年5月、Zoyaはユーザーが合計で1億ドル以上の資産を管理するという重要なマイルストーンを達成した。この成果は、信仰に基づいた価値観と一致したポートフォリオを自信を持って管理したいという多くの人々の信頼の証と言える。
現在、Zoyaは米国の数千の金融機関をサポートし、国際展開を計画中だ。
イスラム金融におけるフィンテックの成長
イスラム金融におけるフィンテックの成長は、イスラム教徒の経済的エンパワーメントに貢献する可能性が高い。この動きは、金融市場における競争の活性化と多様な投資機会の提供を促進することが期待されている。特に、シャリアに準拠した金融資産の普及が進むことにより、イスラム教徒の経済参加の機会が拡大するだろう。
Funding SocietiesとZoyaは、シャリアに準拠した投資機会を提供することで、イスラム教徒の金融アクセスを拡大し、彼らの経済的エンパワーメントを促進している。また、これらの企業の活動は、金融市場全体に新しい競争要素をもたらし、市場の活性化にも寄与するものだ。
今後も、イスラム金融におけるフィンテックの成長は続くと予想される。この成長に伴い、シャリアに準拠した金融資産の多様化と普及が進むことで、より多くのイスラム教徒が経済活動に参加しやすくなるだろう。
参考・引用元:
Funding Societies
Zoya
文・Alley(有吉隆浩)