この技術は、特に出生時の窒息状態など新生児の生命にかかわる疾患の早期発見に役立ち、重要な子育て支援ツールとしての可能性を秘めている。
赤ちゃんの泣き声をAIで分析
UbenwaのCEOチャールズ・オヌ氏は、ナイジェリアのヘルスケア関連非政府組織で働いていた当時、病気の発見の遅れが新生児の命にかかわるという事実を痛感した。その後、赤ちゃんの泣き声が健康状態を示す重要な指標となり得ることに気づいたという。そこで、赤ちゃんの泣き声を理解し、医療的な注意が必要な場合に識別する診断ツールを構築することをビジョンに掲げ、Ubenwaを設立した。
Ubenwaのテクノロジーは、赤ちゃんの泣き声をAIで分析することで、物理的な症状が現れる前に健康問題を検出することができる。家庭や医療現場で活用でき、新生児の健康管理において大きな進歩を遂げると期待されている。
現在、このAI駆動ソフトウェアは出生時の窒息の早期兆候を特定しており、将来的には先天性心疾患を識別することを目指しているという。
非接触診断によるインパクト、世界の病院との提携
「泣き声の分析は、脳の問題が進行している赤ちゃんを特定するための重要な情報を提供できる可能性を秘めています」とチャールズ・オヌ氏は語る。特に医療網が未発達な地域において、こうした遠隔での診断には価値がある。これまで物理的に専門医師の手が届かなかった場所にまでアプローチできるからだ。
Ubenwaは現在、カナダやナイジェリア、ブラジルの病院と提携して、多様な赤ちゃんの泣き声を収集している。同社はモバイルアプリケーションを通じて、泣き声を録音し、パターンの要約を提供。異常が検出された場合、アプリケーションを通じてユーザーに通知され、医師と共有するデータを提供するという。
新生児の命を救う可能性を秘めるUbenwa
Ubenwaのツールは、世界的な医療格差を緩和することが期待されている。同社の取り組みは、医療技術の進歩と共に、新生児の健康管理における新たな可能性を切り拓くだけでなく、赤ちゃんとのコミュニケーションを改善していく可能性も秘めているだろう。参考・引用元:
Ubenwa
文・Alley(有吉隆浩)