ここでは、総合人材サービス会社ヒューマンリソシアが発表している「データで見る世界のITエンジニアレポート」をもとに、ITエンジニア数について世界各国の状況を読み解きたい。
日本でもITエンジニアは増加しているが世界各国の勢いには届かず
今回のレポートは、世界のITエンジニアの動向を俯瞰的に把握することを目的に、国際労働機関(ILO)や経済協力開発機構(OECD)の公表データ、各国の統計データベースをもとにヒューマンリソシアが調査・独自分析したもの。同社は今回、世界のITエンジニア*数に関する最新の調査結果のポイントを「2023年度版:データで見る世界のITエンジニアレポートvol.9」として発表。
今回の調査結果では、世界109か国のITエンジニア数は推計2,680.5万人で、国別では、1位が米国、2位には中国を抜いてインドが入り、3位が中国であることがわかった。世界合計では前年比13.3%増となり、前回調査の4.7%増より増加の勢いが加速しているようだ。
一方日本のITエンジニア数は前年より12万人増え、144万人に。2020年の調査開始より世界4位を維持しているが、前年比での増加率は世界合計を下回る9.1%と、伸び悩んでいることもうかがえる。以下、詳しく調査結果をみていこう。
アジア・太平洋地域の伸長が世界のITエンジニア増を牽引か
世界109カ国のITエンジニア数の合計は、前年比で306.8万人増加しており、増加率は13.3%にのぼる。なお、前回調査での対前年増加率は4.7%だったことから、コロナの影響も背景にITエンジニア増加の勢いが加速していることがわかる。
また地域別ではアジア・太平洋地域が1,030.5万人で、世界全体の38.4%を占めている。前年より169.8万人増え、増加率は20.5%、占有率も2.7ポイント上昇。ヒューマンリソシアでは、アジア・太平洋地域の伸長が世界のITエンジニア増を牽引しているとみている。
世界各国のITエンジニア数、インドが中国を抜いて2位に
ITエンジニア数を国別にみると、米国が445.1万人と最も多く、続いて前回3位のインドが推計343.1万人で中国を抜き2位に入った。3位は中国で推計328.4万人、そして日本は144万人で4位にランクイン。
また、7位のブラジル(114.4万人)のほか、17位にメキシコ(27.7万人)、18位にコロンビア(24.5万人)と、中南米から3か国がランクインしていることも注目される。
インドのITエンジニア急増?推計91.4万人に
ITエンジニアの増加数について、ITエンジニア数が5万人以上かつ前年データを取得できた49か国を対象に調査したところ、前年比で最もITエンジニアが増えたのはインドという結果に。
インドの増加数は推計91.4万人にものぼり、前年と比較した増加率においても36.3%増となる。増加数ではインドが1位であり、米国は61.9万人増えて2位(前年比16.2%増)、そして中国が推計40.6万人増と続く。インドをはじめ、米国、中国の上位3か国は、増加率においても世界合計の13.3%増を上回り、より存在感が増している状況だ。
日本のITエンジニア増加率は9.1%、伸び悩み
一方、ITエンジニア数4位の日本は、12.0万人増え、増加数では4位という結果に。しかしながら増加率は9.1%にとどまり、世界合計の13.3%増を下回っている。ITエンジニア不足が叫ばれるなか、ITエンジニア増の勢いが増す世界各国と比較して日本は伸び悩んでいるともいえるだろう。
近年、国内外で人材マネジメント・人的資本の情報開示を求める動きが加速している背景もあり、企業のIT人材確保には一層力が入っている。経済産業省の資料では、米国などの海外ではAI・データサイエンスなどに関する高いスキルを持つデジタル人材を採用する際に、高額の報酬水準を提示する例が増えていることにも言及。
将来のITエンジニア確保が憂慮されるなか、国内外のIT人材の動きに注目が続きそうだ。
*同調査では、情報通信業で「専門的・技術的職業」に従事する人をITエンジニアと定義し、推計している。
参考(出展元)・引用
PR TIMES
レポート全文資料
(文・Tsunoda Maiko)