そこで米国マサチューセッツ州に本社を置くVRヘルスケア企業XRHealthは、宇宙飛行士のメンタルヘルスを支えるために、VRヘッドセットを国際宇宙ステーション(ISS)に送ることを発表した。
同ヘッドセットは、宇宙向けの支援を行うデンマークのNord-Space Aps、台湾の通信機器メーカーのHTCと協力して、VRヘッドセットを宇宙のマイクログラビティ条件に対応するよう構成したものだ。
ISS宇宙飛行士のためのVRセラピーシステム
宇宙任務中、宇宙飛行士は非刺激的かつ非常にストレスの多い環境で生活し、これが潜在的にメンタルヘルスの問題を引き起こす可能性がある。これに対処するため、Nord-Space Apsは、軌道上でのメンタルヘルスを維持するための宇宙飛行士特有のニーズに対応する仮想プラットフォームを作成。
マイクログラビティ環境で機能するよう特別に開発・適応されたシミュレーターモードを備えたHTC VIVE Focus 3ヘッドセットで、“VRセラピー”を行う。
なお、デンマークの宇宙飛行士であるアンドレアス・モーゲンセン氏が、ISSへの有人宇宙飛行ミッション“NASA Crew-7”の6〜8ヶ月の任務中に、予防ケアのためにVRヘッドセットを使用する最初の宇宙飛行士になる。
マイクログラビティ環境におけるVRヘッドセットの課題
過去には、マイクログラビティ環境でのVRヘッドセットの使用がコンテンツの振動、転がり、ドリフトによる動きの病気を引き起こし、宇宙飛行士がヘッドセット内のコンテンツを読むことができなくなるといった課題があった。マイクログラビティ環境では、方向性を揃えるための重力ベクトルが存在しないため、本来的にはVRヘッドセットが使用不能かつ不安定になるまでのドリフトを生み出す。ほかのVRヘッドセットを使用した過去のプロジェクトでは、使用開始からわずか数分でトラッキングが失われる結果となった。
今回、XRHealth、Nord-Space Aps、HTCは、コントローラーを介した特別なトラッキング方法論とシミュレーターモードを使用して、宇宙で動作するVRプラットフォームを工学的に設計。このVRプラットフォームが宇宙飛行士にどのような好影響を与えるのか、今後も注目していきたい。
参考元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000210.000033579.html
(文・Haruka Isobe)