また、原本性重視の紙ベース処理がいまだに続いている貿易業務の中で、商品の所有権を証明する船荷証券“BL”の電子化・国内実用化が着々と進められているが、電子船荷証券“eBL”が日本で実用化されるのは2025年以降といわれている。
そんな中、デジタル貿易プラットフォームの開発・提供を手がける株式会社STANDAGE(以下、スタンデージ)は、ブロックチェーンベースの文書・ビジネスデータ転送ソリューションを提供する国際企業CargoX Ltd.(以下、CargoX)と提携。
スタンデージの貿易決済システムに、ブロックチェーン上でeBLの受け渡しができるCargoXのプラットフォームを組み合わせることで、貿易決済における「代金」と「商品」の同時交換が可能になる。
貿易決済システムを開発するスタンデージ
スタンデージは2017年の創業当初から、ブロックチェーンとステーブルコインを活用した新貿易決済システムの開発に取り組んできた。同システムは世界中どこの国・地域であっても、カントリーリスクや現地通貨の信用に関わらず、安心・安価・迅速な貿易決済を実現するものだ。現在は大手総合商社や大手製造業の協力のもと、この貿易決済システムのPoV*1を実施している。
PoV*1:Proof of Value(価値実証)
eBL発行プラットフォーマーのCargoX
今回、スタンデージが提携したCargoXは、ブロックチェーン上におけるeBLの発行プラットフォーマー。2018年に設立され、スロベニアを拠点としている。CargoXのプラットフォームでは、政府期間や規制当局を含め、物流や製造業、金融、貿易、エネルギー、各種サービスといったあらゆる電子取引文書の安全な作成・転送を提供。特に電子取引文書の作成、署名、交換、制御、保有権の移転、処理、アーカイブなどの利便性向上・効率化に特化した設計となっている。
2024年内の実用化を目指して
スタンデージとCargoXのシステムは、それぞれイーサリアムという同じブロックチェーンを使用。両社システムの連携が非常にスムーズであること、100年来変わらないといわれる貿易業界に変革を起こしたいという共通の思いをもっていることなどから、今回の提携に至ったという。ステーブルコインを活用したスタンデージの貿易決済システムと、同じくブロックチェーン上でeBLの受け渡しができるCargoXのプラットフォームを組み合わせ、貿易における「代金」と「商品」の同時交換が、完全に仲介者不在かつ改ざん不可能な状態で実現。後払い・先払いリスクなど貿易の不平等を解消する。
両社は同システムのプロトタイプを2023年末までに完成させる予定で、国内外での実証ののち、2024年内の実用化に向けて連携を進める方針だ。
参考元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000085.000033629.html
(文・Haruka Isobe)