この技術は、海洋波が自然に生み出すエネルギーを電気に変換するもので、大型化やほかの再生可能エネルギー技術との統合が可能な設計となっている。
なおWAVRコンセプトは、アイデアからプロトタイプまでわずか1年余りで実現。著名な政治家やビジネスリーダーの注目を集めているという。
WAVRの戦略顧問で元ハワイ州知事のジョン・ワイヒー氏は、ハワイ・クリーンエナジー・イニシアチブ(※)の目標達成に貢献できるとの見解を示している。
ハワイ・クリーンエナジー・イニシアチブ(※)…2030年までに省エネを推進して消費電力を30%減らし、さらに、必要な電力の40%を再生可能エネルギーで供給することを目標にしたプロジェクト
継続的なエネルギー構築
波力発電は、波のエネルギーを利用する発電方法。多様な方式があり、その機構に関しては数多くのアイデアが考案されており、日本や欧米で開発競争がなされている。風力に比べて比較的小規模でも高効率が得られる可能性があることや、海域制御(静穏域形成)と兼ねたシステムが実現しうることに加え、地理的な偏在性が小さいことから、大規模電源とは異なる立場での利用が期待されている。
小型にも大型にも対応可能なデバイスへ
今回発表されたプロトタイプは、消費者向けのサイズでありながら、ほかの再生可能エネルギー技術との統合が容易な設計が施された波動エネルギーコンバーター。モジュラーな設計により、モジュール数を増やすことで出力を拡大することができ、エネルギー要件の大きなアプリケーションにも対応できる。ピーク時の太陽光発電は1日あたり平均7時間未満だが、太陽や風よりも断続的ではない“波”を活用した波力発電はほぼ一定で、継続的なエネルギー構築を実現。
そのため、ほかの再生可能エネルギー技術が抱える断続性の問題に悩まされることはないという。
太陽光、水力、風力技術と組み合わせることも
WAVRの技術は、太陽光、水力、風力技術と組み合わせて使用することが可能。太陽電池パネル、風力タービン、水力タービンをWAVR設計に組み込み、ハイブリッドシステムを実現する。WAVRの創設者Clyde Igarashi氏は「信頼性のある電力を生成できる技術が存在すると考えています。最初のプロトタイプには満足しており、今後の展開に期待しています」とコメントした。
再生可能技術とかけ合わせて、持続可能なエネルギーミックスの重要な要素となりうる同プロトタイプが、今後どのように活用されるのか注目していきたい。
参考元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000128639.html
Wavr LLC 公式サイト:https://www.thewavr.com/
(文・Haruka Isobe)