これに伴い、日ASEAN経済共創ビジョンの実現に向けて日ASEAN政府が取り組む施策を記載した「未来デザイン&アクションプラン」を策定。
日ASEAN経済共創の4つの方針のうち「サイバー・フィジカルコネクティビティの強化」では、デジタル技術を用いたサプライチェーン高度化やASEAN地域における貿易の電子化などが施策として含まれている。
そんななか、貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz」を運営する株式会社トレードワルツ(以下、トレードワルツ)は他国協業MoUをブルネイ・ダルサラーム(以下、ブルネイ)のDynamik Technologies社と締結した。
今後、ブロックチェーン上で商流・物流・金流の貿易手続きをデジタル化するプラットフォーマーとしてASEAN諸国と協働し、日ASEANでの貿易デジタル化の取り組みを進める方針だ。
ブルネイ政府の100%国有企業との協業
ASEAN加盟国のブルネイはこれまで、SHELLや日本の三菱商事などの協力によりエネルギー資源の採掘と輸出ビジネスによって産業を活性化してきた。同国における次の産業を考えるなかで、1つのキーワードとなっているのが「デジタル化」だ。ブルネイのデジタルトランスフォーメーション実現の立役者の一人で、ブルネイ政府の100%国有企業Dynamik Technologies社のCEOであるHaslina Taib氏は、これまでデジタルビジネスとITソリューションの推進に取り組んできた人物である。
同氏はインドネシアやマレーシアとともに、新たに誕生されたボルネオ経済共同体(BEC)が先駆的に推進する「ダガン・ボルネオ」と呼ばれる貿易デジタル化イニシアチブに向けて、ASEAN域外と協力できるパートナーを探していたという。そこで出会ったのが、トレードワルツである。
情報貿易連携プラットフォーム「TradeWaltz」
トレードワルツは、ブロックチェーンを活用した情報貿易連携プラットフォーム「TradeWaltz」のSaaS提供を担う企業だ。TradeWaltzでは、情報の改ざんが難しいブロックチェーン技術の活用により、安心安全に一気通貫で貿易手続きの完全電子化することが可能。貿易取引の進捗管理、コミュニケーション機能による関係者とのやりとり、関連書類の添付・保管などを実現する。
行政機関は「TradeWaltz」を通じて各種貿易書類を電子化し、原本性・真正性を担保することで取引の透明性を向上できるといったメリットがあるという。
輸出者・輸入者は、書類作成・クロスチェックの稼働低減、リードタイム短縮化と郵送コストの削減、貨物受取時期の予測・トレーサビリティの実現などの恩恵が受けられるそうだ。
タイのNational Telecom社と協業MoUを締結
トレードワルツは今後2カ月間で最大5カ国の民間企業と協業覚書を締結し、日ASEAN経済共創ビジョンの実現を推進していく予定だ。2023年9月には、ブルネイに次ぐ他国協業MoUをタイのNational Telecom社と締結している。参考元①:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000104.000069451.html
参考元②:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000105.000069451.html
「日ASEAN経済共創ビジョン」詳細:https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230822005/20230822005.html
「TradeWaltz」サービスサイト:https://www.tradewaltz.com/service/
(文・Haruka Isobe)