この国際大会は、世界中の映像クリエイターが1分台の短いプロジェクションマッピング作品で世界一の称号と優勝賞金200万円を競うというもの。11回目を迎える今年、見事グランプリ(東京都知事賞)に輝いたのはルーマニアのVali Chincișan氏です。
今年のテーマ「LINK」に対し、AIを使用して古代文明が織り成す歴史を表現したアニメーション作品『Legacy Links』を発表し、現在と過去のつながりを表現しました。
古代文明が織り成す歴史を表現した『Legacy Links』
過去最多のエントリー数を記録した今年の国際大会におけるグランプリ受賞作品は、ルーマニアのVali Chincișan氏が制作した『Legacy Links』です。同作品は、シュメール・エジプト・ギリシャなどの古代文明の織り成す歴史を鮮やかに描いたビデオマッピング・アニメーション。そのダイナミックなビジュアルを通して、相互の進化と現代社会への集団的な影響を強調しています。
アニメーションは過去と現在の架け橋であり、どの文明も孤立して発展したわけではないことを示唆しているそう。それぞれが他の文明に貢献し、影響を与えた…と表現しています。
『Legacy Links』は、祖先の協力的な精神を反映し、共通の歴史と相互のつながりを意識しながら、今日のグローバルな課題に取り組むよう呼びかけています。
準グランプリはブルガリアチームの『Touch』
準グランプリ(TOKYO LIGHTS賞)受賞作品は、ブルガリアチームElektrick.meが制作した『Touch』。同チームは今年のテーマ「リンク」を別の方法で解釈し、全員がそれぞれのバリエーションを作り、最後にすべての作品をひとつの壮大なビジュアル・コラージュとしてリンクさせました。
その背景には「創造性は非常に広大で多様であるにもかかわらず、アートや表現を通して私たちを本質的に結びつけていることを表現したかった」という考えがあったようです。
この考えを具現化した『Touch』は、“タッチ”という言葉のあらゆる概念を探求した作品。
単なる物理的な意味とは別に、“タッチ”は創造的な追求においても見られるものであり、芸術は心に“タッチ”し、インスピレーションや感情、そして深い相互関係をもたらすことができる…という意味が込められているとのことです。
審査員特別賞はポーランドチームの『Human』
今年の国際大会では、審査員特別賞にポーランドチームAri Dykierの『Human』が選ばれました。同作品は、「人間は、自然とテクノロジー、生物学と機械、動物とロボット、過去と未来をつなぐ存在だ。私たちは、いつか生物学的な機械やアンドロイドの形をした魂に直面することになるかもしれない。」というコンセプトの作品です。
Tokyo Tokyo賞は、ドイツチームUmbraの『Umbra』が受賞。集合精神を代表する“フクロウ”が登場する同作品では、AIと共に作曲したサウンドトラックを採用しています。
オーディエンス賞に選ばれたのは、ポーランドチームClockworkの『A Neon Owl Symphony』。歴史・創造性・テクノロジーを織り交ぜ、3Dマッピングの興味深いテイクの提供を目指す作品です。
参考元①:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000028.000020452.html
参考元②:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000090122.html
(文・Haruka Isobe)