海外・国内のベンチャー系ニュースサイト | TECHABLE

TECHABLE

Tech 関東鉄道ら、AI・5Gネットワーク活用「踏切内AI滞留検知システム」の実証開始。踏切事故の未然防止へ

Tech

関東鉄道ら、AI・5Gネットワーク活用「踏切内AI滞留検知システム」の実証開始。踏切事故の未然防止へ

SHARE ON

このエントリーをはてなブックマークに追加
関東鉄道株式会社、株式会社コシダテック、株式会社ヤシマキザイ、NTTコミュニケーションズ株式会社は、関東鉄道・常総線の海老原踏切道において、線路内に滞留する物体を大小問わず高精度かつリアルタイムに検知する「踏切内AI滞留検知システム」を活用した実証検証を2023年9月1日より開始します。

鉄道運転事故の4割を占める“踏切事故”

踏切事故は鉄道運転事故の4割を占め、踏切事故のうち42.9%が歩行者の渡り遅れに起因するものだといいます。

線路内の滞留を検知する“踏切支障検知装置”の設置が踏切事故を防ぐ施策として行われるなか、自動車といった大きな物体は高精度に検知できる一方で、自転車・ベビーカー・車いす・手押し車や、それらの帯同者などの小さな物体の検知精度向上が課題とされているようです。

そこで関東鉄道株式会社らは、常総線の海老原踏切道(守谷駅~新守谷駅間)にて、5GネットワークやAIを活用した踏切内AI滞留検知システムを用いた検証を2023年9月1日~2024年3月31日の期間、実施することに。

障害物検知の検出精度に関する既存の装置との比較を行うと同時に、小さな物体の検知精度を向上させることで、踏切事故の未然防止を目指します。

線路内に滞留する物体を検知するAIシステム

今回の検証で活用する踏切内AI滞留検知システムは、踏切付近に取り付けた市販のネットワークカメラの映像を、5Gネットワークでdocomo MEC(*1)に伝送しVAE(*2)や背景差分技術(*3)を活用してAI解析することで、線路内に滞留する物体を大小問わず高精度かつリアルタイムに検知するもの。物体を検知した場合、施設管理者へアラート通知します。

取得した映像をリアルタイムにdocomo MECへ伝送し一定期間蓄積するため、遠隔地からの現場確認用カメラとしても活用することが可能です。

docomo MEC*1…移動通信網において顧客により近い位置にサーバーやストレージを配備しデータ処理する技術であるMEC(Multi-access Edge Computing)を、NTTドコモとNTT Comが連携して提供するサービス

VAE*2…変分オートエンコーダ(Variational AutoEncoder)の略語。訓練データの特徴を学習し、似たような画像を作成する生成モデルの一種

背景差分技術*3…移動物体の検出方法の1つ。事前に用意した背景画像と、入力画像の差分を計算することにより移動物体を検出することが可能

システムの有効性を確認・改修を図る

関東鉄道株式会社らは7か月におよぶ実証検証により得られた結果を踏まえ、踏切内AI滞留検知システムの有効性を確認するとともに、線路内に滞留する物体を検知した場合に接近する列車の運転士にアラート通知する機能など、システム改修を図る予定です。その後、鉄道各社への同システム導入に向けた提案を行うとのこと。

今後、踏切内AI滞留検知システムを構成する技術を応用し、線路内への鳥獣侵入、ホームからの転落、駅構内の異物などを検知可能とすることで、鉄道運行の適切化や駅構内の安全対策に貢献する方針です。

参考元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000124427.html

(文・Haruka Isobe)

関連記事

Techableの最新情報をお届けします。
前の記事
次の記事

#関連キーワード


WHAT'S NEW

最新情報