高い再現性と歴史的背景を物語る解説、いつでもどこからでも閲覧できるアクセス性など、文化財維持・継承と観光誘客に貢献するコンテンツとして期待されています。
高野山の二大聖地のひとつ「壇上伽藍」
高野山は、平安時代の初めに弘法大師空海によって開かれた真言密教の総本山。2004年に世界文化遺産に登録され、2009年にはミシュラン旅ガイド日本版にて「わざわざ訪れる価値のある場所」として3つ星を獲得しました。
壇上伽藍は、弘法大師空海が根本道場を開く際に最初に整備に着手した場所で、高野山を訪れたらまず参拝したい場所とされています。
カメラ1台でスマートに撮影、点群データも取得
壇上伽藍のスキャンは、マーターポートによる撮影代行サービス「Matterportキャプチャーサービス」で実施。カメラは、LiDAR搭載で、屋内外の広い空間の高精度・高速なスキャン、高精度なモデル生成が可能な「Matterport Pro3」を使用しました。
機材はカメラ1台のみのため、観光客の足を止めることなく約半日で撮影完了。スキャンする際に足場などを組む必要がなく、文化財を傷めてしまうリスクを回避した撮影を実現しました。
また、撮影時にLiDARで点群データ(距離データ)も取得しており、現在の建築物の状態を詳細にデジタルデータとして継承することができます。
ドールハウス、平面図、ウォークスルーを公開
こうして取得した撮影データを、Matterportのクラウドサービスにて全自動で合成し、ウェブブラウザ上でデジタルツインとして公開しました。
デジタルツインでは、壇上伽藍全体を立体的に俯瞰するドールハウス、平面図、ウォークスルーを閲覧可能です。
また、壇上伽藍のシンボルともいえる高さ48.5メートルの「根本大塔(こんぽんだいとう)」は、僧侶の協力のもと祈祷風景を含めて内部の撮影を実現し、国内外から常時アクセス可能にしました。
さらに、「金堂」「三鈷の松(さんこのまつ)」など、壇上伽藍内の文化財に詳しい解説を付けており、建造物を見ながら歴史や背景も理解できるコンテンツとなっています。
「デジタルツインで結ぶ、文化と未来」プロジェクト
デジタルツイン化には、歴史的建造物の長期保存、老朽化した建造物内部の安全な探索、自然災害などからの復興の記録と継承、海外など遠方からのアクセスなど、数多くの利点があります。
マーターポートは、日本の文化財や歴史的建造物をデジタル化し広く人々に共有するための「デジタルツインで結ぶ、文化と未来」プロジェクトを、2023年6月に開始しました。
同プロジェクトの一環として、6月26日(月)に、佐賀県にある創業148年の酒蔵「天山酒造」のデジタルツインを公開。今回の「高野山 壇上伽藍」は、第2弾となります。
参考元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000111509.html
壇上伽藍デジタルツイン公開ページ:https://my.matterport.com/show/?m=Bj1JQrvbBKo
根本大塔内デジタルツイン公開ページ:https://my.matterport.com/show/?m=Bj1JQrvbBKo&sr=-.08,-.01&ss=224
天山酒造デジタルツイン公開ページ:https://my.matterport.com/show/?m=HHEbXmswFk3
(文・Higuchi)