4つのレンズを組み合わせ、光を屈折させる
ニューヨークにあるロチェスター大学の研究チームでは、光学レンズを組み合わせることで、視界から物体を見えなくする技術を研究している。まさに、“透明になった”ような状態である。
この装置は4つのレンズを組み合わせて動作するシステムで、装置内のある範囲内に物体を置くと、レンズの微妙な配置によって、その物体周辺の光を屈折させる。すると、後ろ側の背景は通常通り見えるのに、前面側の物体は見えないという、実に不思議な現象が起こる。
しかも正面から見たときだけでなく、少し左や右のアングルから見たときにも、やはり透明化したままに見える。特別なレンズやハードウェアを用いる必要はなく、どんなサイズのレンズでもよい。研究チームでは既存のハードウェアを開発用に使っているという。
外科手術やインテリア、アートなどに活用
チームのメンバーの1人、Joseph Choi氏が言うには、トレイラートラックのドライバーが、トレイラーを“透明化”させて、直接後方確認をするようなことに用いたり、外科手術や軍事利用、インテリアデザインやアートにも活用できるのではないかと考えているとのこと。
この装置は構造がシンプルで、制作費用も抑えめで開発できるため、一般の人が手にしやすい点もメリットだろう。今のところ、この装置一式を制作するには1000ドルかかるが、より価格を抑えられるよう改良を進める意向だ。現在、この技術は特許出願中。
物体が“透明になって見える”という驚きの体験を早くしてみたいものである。
Rochester Cloak