エプソン、ファッション業界の課題解決に挑む
ファッション業界では、衣服の大量生産・大量消費・大量廃棄にともなう環境汚染、CO2排出、水資源の大量消費などが問題となっています。国連貿易開発会議(UNCTAD)では、ファッション業界が世界で第2位の汚染産業とみなされています。
エプソンは、こうしたファッション業界における社会課題に注目し、独自のプリント技術を生かした商品を展開。また、共創パートナーとの取り組みにより新たな解決策を検討しています。
試作品の作成プロセスを短縮!在庫を持たない販売へ
エプソンとアベイルは、「アパレル3Dソリューション×無在庫ビジネス構想」を推進中です。アベイルの展開するBROWZWEAR社の「VStitcher」は、デジタルツイン技術を備え、3Dのデジタルデータを現実の生産ラインに反映可能。プリント柄を含めた3Dデジタルデータを2Dの型紙データに変換でき、プリントデータとして生地に直接オンデマンド印刷ができます。
これにより、試作品の作成プロセスを短縮してオンデマンドで、必要な数量のみの生産が可能になり、在庫を持たない販売を実現します。
さらに、エプソンのデジタル捺染機「Monna Lisa(モナリザ)」で顔料インクを使用した場合、アナログ捺染の染料インクを使用した印刷と比較して、水使用量を大幅に削減可能。株式会社フルハシ環境総合研究所の報告によると、水使用量を約96%削減できるとのことです。
サステナブルブランド「ECOALF」を迎えて実証実験
このたび、「アパレル3Dソリューション×無在庫ビジネス構想」に、ブランドオーナーとして参画したのが、三陽商会の展開する「ECOALF(エコアルフ)」。「ECOALF」は、リサイクル素材を用いながら、スタイリッシュで機能的なコレクションを創造するスペイン発のサステナブルファッションブランドです。
3社での共創活動により、試作品レスと在庫レス、さらに印刷工程における水使用量を極小化した持続可能なファッションの流通サイクルを目指します。
今回は、6月14日~19日の期間、「GOOD VIBE FROM SEA」内の「ECOALF」ブースにて実証実験を展開。
「アパレル3Dソリューション×無在庫ビジネス構想」を想定した実店舗として、水族表現家の二木あい氏の作品を用いたワンピースを、タブレット端末でのバーチャルフィッティングを体験しながら実際に予約購入することができます。
なお、同イベントで装飾に用いられる布製タペストリーとタープは「Monna Lisa」で印刷し、イベント終了後は、二木氏の新たなアート作品としてアップサイクルされます。
エプソンは、同取り組みのビジネスオーナーとして各社との連携を図り、「アパレル3Dソリューション×無在庫ビジネス構想」における国内企業の需要性調査を行いつつ、「ECOALF」の商品展開の拡大を図るとのこと。
また、取り組みに賛同する商社や新たなブランドオーナー募集を行い、2023年度をビジネスモデルの検証期間とし、2024年度を目途に本格的に同ビジネスを進めていく予定です。
参考元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000554.000033845.html
(文・Higuchi)