郊外など、公共交通機関が少ない地域では、この問題はより深刻で、自動運転車両の活用を含む、様々なアプローチが検討されています。
JKK東京(東京都住宅供給公社/以下、JKK)が郊外で提供する団地住宅では、入居開始から40年以上が経過し、同時期に入居した世代が一斉に高齢化しているそう。大規模な団地では団地内の商業施設やバス停までの距離が長いため移動が難しく、高齢者が外出を控えるという事態も起きているといいます。
そんな中、JKKと群馬大学は、高齢化が進む郊外型団地で展開する移動支援サービスの検証を目的とした共同研究契約を締結。今回、2022年9月に東京都・町田市の町田木曽住宅地域で実施した、自動運転車両を活用した実証実験の結果を発表しました。
自動運転レベル2の車両を実験に使用
2022年9月22日から10月5日までの計14日間実施された実証実験では、高齢車などの移動を自動運転車両(自動運転レベル2※)でサポートしました。期間中、同車両は111回運行され、合計206人が乗車しました。
また、実験では買い物で購入した日用品などの配送や、イベントの開催時の外出支援なども行い、郊外型団地における「距離のバリア」解消に向けた課題の洗い出しと検証を実施しました。
※安全性を確保するため、常にドライバーが車両に搭乗し、緊急時等に直ちに必要な操作を実施する段階の自動運転技術。
実用化には更なる技術革新が必要か
JKKは実験の結果、一般公道を含む非閉鎖空間における自動運転技術は、まだ発展途上の段階であり、完全無人走行の実現には、更なる技術的な革新が必要という認識に至ったそうです。
また、利用者の希望する運賃水準では事業性の確保が難しく、運行にかかるコストの低減や生活支援サービスとの連携を進めることも必要であるとのこと。
加えて、既存公共交通との役割分担など、地域交通の全体のあり方について自治体の関与も含めた議論を行う必要もあることを確認したと、JKKは説明しています。
地域デリバリーと団地コミュニティ機能の強化が必要
JKKは、今回の結果を踏まえて、地域におけるデリバリー機能と団地コミュニティ機能の強化のほか、高齢者の移動困難を防ぐためのフレイル(虚弱の状態)予防の取り組みが重要であると発表。今後、これらに関する検討と取り組みを進める方針です。
参考元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000102.000057497.html
JKK東京公式サイト:https://www.to-kousya.or.jp/
(文・S.Inosita)