玉名市は大規模な水害に見舞われた歴史がある地域。今回の取り組みは、VRによりリアルに再現された街並みと臨場感のある水害シーンの体験により、被験者に災害を“自分の身に起こること”として考えてもらうことを目的としています。
避難する過程を疑似体験できる
今回の同防災VRコンテンツは、玉名市松木南児童公園付近の自宅にいるシーンから始まります。
外は大雨、テレビからは大雨警戒レベル4の避難指示がでている状況の中、玉名市の災害時一時避難場所及び垂直避難建物に指定されている『玉名市文化センター』を目指して避難する過程を疑似体験できる構成です。
コンテンツ内では避難ルートの分岐ポイントが3つあり、被験者がそれぞれの分岐ポイントで選択に迫られ「自分だったらどう行動するか」を考え、発災時をリアルに想像しながら避難シミュレーションを体験できます。
なお、水害のシナリオ作成にあたっては、熊本大学先端科学研究部・本間里見教授と、内山忠准教授に監修を依頼しています。
3D都市データ制作技術を活用
今回の防災VRコンテンツの制作は、3D都市モデルの整備・活用・オープン化を推進する国土交通省の「Project PLATEAU(プラトー)」によるユースケース開発(3D避難シミュレーションVR制作事業)として実施されました。2023年2月7日には、玉名市の住民に向けた防災VR体験会を実施。体験会後のアンケートでは、85%の人が「実際に水害を体験しているような怖さを感じた」「VRゴーグルならではの没入感があった」などと回答しており、地域住民の防災意識向上に寄与していることが確認できたとのこと。
玉名市の依頼を受け『防災VRコンテンツ』を制作
2020年度に国土交通省が主導する「PLATEAU」のリーディングプロジェクトに参画した玉名市。同市は、交通・環境・防災といった都市活動データなどと連携しながら、各分野で活用が想定されるデジタル基盤「3D都市モデル」を整備し、オープン化しました。また、同市は2022年度に創設された都市空間情報デジタル基盤構築支援事業を活用し、3D都市データを使用した防災VRコンテンツの制作をキャドセンターへ依頼。
その後、キャドセンターは3D都市データの制作技術を活かし、玉名市の実際の街並みを使った水害時の避難シミュレーションを体験できるVRコンテンツを制作しました。
既存の防災VRコンテンツの多くは、現実には存在しない都市を使っているものがほとんどであり、実在する街並みを用いたVRコンテンツの制作は、3D都市データの制作技術を有するキャドセンターだからこそ可能な取り組みです。
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000004108.html
(文・zio.)