児童を連れ去る事件は後を絶たず、自分の大切な家族が犯罪に巻き込まれる確率も、ゼロとは言い切れない時代になった。
何より大事なのはトラブルが発生したとき、異変をいち早くキャッチすること。それには家族はもちろん、周囲の「見守り」が大きな役割を果たす。
今回ご紹介する「otta(オッタ)」も、そうした視点から作られたサービス。Beacon技術によって親だけではなく、不特定多数のユーザーが位置情報を確認する仕組みがなされている。
利用ユーザーが増えれば増えるほど、より安心なネットワークへ成長していくという本サービス。開発を手がけたotta、代表取締役COO、山本 文和(やまもと ふみかず)氏に、詳しいお話を伺った。
専用アプリが電波をキャッチ!みんなの力で「見守りネットワーク」を作る
Q1、サービス開発のきっかけと経緯について、お聞かせください。
「otta」を作ろうと思ったきっかけは、自分の子どもです。
私には現在保育園に通う子どもがいるのですが、将来小学校に通うことに、漠然とした不安を感じていました。
昨今小学生児童を対象とした行方不明などの犯罪が多く報道されており、同じ子どもを持つ親として心を痛めていたからです。
見守りサービスの現状を調べても携帯電話を使ったサービスを使用している方はまだ少なく、また使っている方にも不満があるようでした。
理由はさまざまだと思うのですが、費用面と携帯電話というイメージに起因するところが多いようです。(中略)
そんな状況下でスマートフォンアプリの開発をしている際、iBeaconという技術に触れ、これを使えば私を含め、子どもを持つ親が必要とするサービスを実現できるのではないか、と思ったのが始まりです。
Q2、「otta」の特徴と仕組みについて、詳しく教えてください。
サービスで使用するotta端末には、Bluetooth Low Energyを活用したBeaconモジュールが搭載されています。
端末からはこのBeaconモジュールを使って、端末固有の情報を載せた電波を発信しています。
専用アプリをインストールしたスマートフォンがこの電波をキャッチすると、端末固有の情報とスマートフォンの位置情報を併せてサーバーへ送信し、位置情報が記録される仕組みになっています。
アプリをインストールしたすべてのスマートフォンがこの基地局機能を担い、ユーザーみんなの力で見守りネットワークを作れる点が、本サービスの最大の特徴です。
Q3、GPS機能つき携帯をはじめ、位置情報サービスは色々ありますが、それらとの違いについて教えていただけるでしょうか。
サービス提供価格です。
前述のとおり、ユーザーみんなのスマートフォンが基地局になるため、基本的には独自のインフラを整備する必要がありません。
その分、設備投資コストが下がるため、ユーザーが負担する費用も抑えることができます。
現時点では、まだ正式な料金は決まっていませんが、現在の試算では、従来サービスの約5分の1程度の金額となる見込みです。
あとは電池寿命ですね。「otta.b」では、最長で約2年の電池寿命となる予定です。
リリースは来年。実証実験に向けて複数の自治体と協議中
Q4、本サービスで活用が期待されるのは、どのような場面でしょうか?
児童でいうと、登下校時の行動把握です。例えば、いつもだと学校を出て20分以内に帰ってくるはずが、まだ帰ってこないといった場合に、いち早く異変に気づくことができます。
本来はあまり活用されることがない方がよいのですが、行方不明のときなどに、ひとつの手がかりとなり得ます。
Q5、正式リリースは来年4月だそうですが、それまでの展開について教えてください。
現在、複数の自治体関係者と実証実験のスタートに向けて協議しておりますが、できるだけ早い段階で実証実験を開始したいと思っています。
実証実験として提供できる端末はまだ余裕がありますので、現在協議中の自治体以外でも、ご興味のある自治体や団体がありましたら、お声がけいただけるとうれしいです。(中略)
みんなで、みまもる。"otta"