これらの事故の中では、「信号のない交差点における出会い頭事故」が最多。原因は、自転車や原付が建物などの死角に隠れてしまい、さらに従来の自動車センサーでも検知できないため、自動車運転者からの発見が遅れるとのことです。
このような背景を踏まえ、KDDI株式会社、株式会社出前館、三井住友海上火災保険株式会社、MS&ADインターリスク総研株式会社などは共同で、スマートフォンの位置情報を活用して運転手に車両を通知し安全運転を支援する実証実験を開始しました。
実証期間は2023年2月1日から2023年2月28日までの約1ヶ月間。東京都板橋区の公道で行われます。
スマートフォンの位置情報で危険を察知
本実証実験では、現在の自動車のセンサーでは検知できない死角を補うことを目的とした1)自転車・原動機付自転車と自動車の出会い頭情報提供機能 2)運転後の自転車・原動機付自転車の運転結果フィードバック機能の2つの機能を検証します。1)自転車・原付と自動車の出会い頭情報提供機能は、KDDIがトヨタ自動車とともに開発した、GNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム )で計測したスマートフォンの位置情報を利用しています。
本機能では、スマートフォンの位置情報を活用し、自転車・原付・自動車の位置情報をトラッキングサーバーに定期的にアップロードします。
また事故の発生可能性が高い、見通しの悪い交差点付近において自転車や原付、自動車の接近をトラッキングサーバーが予測・検知すると、通知音やバイブレーション、警告画面を通じてそれぞれの運転手に自動通知します。
路や交差点の形状、乗り物の種類に応じて、通知のタイミングを個別に設定しているため、精度の高い事故防止が可能です。
また、位置情報はアプリ上のものを活用するため、au回線以外でも利用することができます。
運転後のフィードバック
さらに本実証では、2)運転後の自転車・原付の運転結果フィードバック機能も検証されます。運転中の一時停止違反や急ブレーキの実施などが記録され、それらが運転後に運転手にフィードバックされます。
1)自転車・原付と自動車の出会い頭情報提供機能に加えて、2)運転後の自転車・原動機付自転車の運転結果フィードバック機能を組み合わせることで、配達員やドライバーなどの運転意識の向上を測り、事故問題の根本的な解決につながることが期待できます。
出前館と日本交通など複数の賛同企業の協力で効果的に機能を検証
今回の実証実験では、KDDIとトヨタが自転車・原付の存在通知機能、運転結果フィードバックの提供などのサービスを提供します。さらにドライバーとして出前館と日本交通が参画。
出前館の配達員が自転車、原付側の位置情報を提供し、日本交通のドライバーが自動車側の位置情報を提供し、2社が機能を事故削減効果や受容性を検証することにより、効果的に実証を進めます。
上記以外では、三井住友海上とMS&ADインターリスク総研が、事故の削減・被害軽減効果のデータ提供・検証、およびリスクマネジメント支援などを行い、実証支援します。
そして今後各社は、本実証で得られた成果をもとにして、自転車・原付と自動車の事故削減に向けた取り組みを継続し、さらに本機能の普及に向けて様々なパートナー企業と連携しながら社会実装を目指します。
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000365.000029254.html
(文・大谷尊迪)